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米経済、リセッション前夜 UPDATE


米経済、リセッションの兆候が出現
第二次世界大戦以降に米国で発生したリセッション(景気後退)はいずれも、鉱工業生産と企業利益、株式市場の急激な落ち込みという前兆があったそうです。こうした悪い前兆が再び姿を現しているようです。
製造業は景気循環に先行し、景況感の指標となる傾向があるそうです。ブル派が喧伝するように確かにアメリカの製造業は弱くGDPに占める割合は小さいですが、波及効果は無視できないようです。
FRBやその中の人であるGS、そしてそれに従属する日本の市場関係者やエコノミストが米経済に強気な理由は雇用統計です。しかし、これは一般的に遅行指標だとされています。
しかも、さまざまなノイズや政治的思惑によって失業率やNFPは、景気の動向を判断する基準としての信用性が低下しています。
米主要500社の第4四半期は、4.2%減益見通しで今後もさらに落ち込むとみられています。企業業績の悪化に相反するように雇用統計の数字だけが改善しているのは違和感があります。
唯一、労働市場の指標で信用性が比較的高いといえる米失業保険申請件数の4週移動平均は再び増加傾向にあります。これは、雇用環境の悪化を示唆しています。

昨年までは、米金融当局、ウォール街、エコノミスト、金融メディアなどの市場関係者は、米経済に対して楽観一色でした。
しかし、昨年の年末、FRBが利上げして株価が崩れ、その後ECBが追加緩和のアシストに失敗してからというもの、世界中のリスク資産(株、不動産、原油)が総崩れ状態になりました。
FRBやGSなどはまだまだ強気ですが、ジャンク債市場は、16年の米リセッション確率を44%と示唆しているようです。
企業が他社を買収する際に提示する株価上昇を見込んだプレミアムも2007年以来の低水準となっているそうです。
プレミアム縮小はバリュエーションに関する弱気のシグナルと考えられ
そのためか、最近では米経済(≒米株価)に対する弱気の意見がでてきました。
いままでさんざん強気で発言していた連中が自己保身のために予防線をはっているとみることもできます。

レイ・ダリオ
世界最大のヘッジ・ファンドを率いるレイ・ダリオは、今現在の米国経済が、長期債務周期の頂点(ミンスキーモーメント)にあるとし、資産価格の長期下落を予想しています。
米国の個人、政府、企業の債務負担額は、サブプライムバブル崩壊、リーマン危機後の 2009 年の大不況の時の水準に達しています。それは、米国内で生産される全ての物・サービスのドルベース価値の約 2.5 倍で、これは80年代、90年代の1.9倍を大きく上回っているようです。金融緩和で資本家が所有する企業のバランスシートだけが改善しましたが、そのツケが国や家計にいっています。企業は過剰債務ですが国や家計のバランスシートが健全な中国とは対照的です。
その上で、レイ・ダリオは、FRBがQE4を迫られると予想しています。さらに、将来的にドルの基軸通貨が危ぶまれる時が来ると予想しています。
30分で判る 経済の仕組み Ray Dalio

ジョージ・ソロス
レイ・ダリオに比べると運用資産はぜんぜん小さいですが、日本でも知名度が高く、ユダヤ資本家のスポークスマン的存在であるジョージ・ソロスは、S&P500を売って、米国債を買っているようです。

ジェフリー・ガンドラック
新債券王ガンドラックは、S&P500の長期下落を予想しています。
ガンドラックは、米国とユーロのGDP成長率の差がわずか0.6%ポイントにもかかわらず、金融政策が対照的なこと、GDP成長率は米国では横ばいの一方で欧州は加速しており、恐らく2四半期後には成長率が同じになること、サプライ管理協会(ISM)の景況指数が50以下、および名目GDP成長率がわずか2%の状態で利上げしたことは過去にはないことなどを理由として、米国の再度の利下げを予想しています。年内のリセッションの確率予想は3分の1だそうです。

ビル・グロス
元祖債券王、ビル・グロスは、世界的な金融市場の混乱は、中央銀行の取り組み失敗を示すと発言しています。
グロスは、レイ・ダリオ同様、今の米国は債務のスーパーサイクルのバランスシート調整期はいったと指摘し、今後24か月の間に米経済がリセッション入りすると予想しています。

ヌリエル・ルービニ
FRBの御用学者であるルービニです。昨年末に米経済が来年リセッションに陥る可能性はほとんどないと発言したばかりですが、いまでは、FRBが再びゼロ金利やQEに戻らざるをえなくなるとしおらしくなっています。

ゴールドマン・サックス
ゴールドマンの米株の予想価格は、他行に比べると控えめです。しかし、これはベアというわけでなく、大きく上げることはないが、下げることもないという強気の予想です。
下がらず横ばいにレンジ内で推移すれば配当を得られますし、オプションで儲けることもできます。また、株式市場は健在ですので手数料収入も維持できます。特にレンジ内でボラが大きくなれば、手数料だけでなく得意のインサイダーなどを駆使して自己売買部門の利益も増えます。
この前もGSは、米株の強気相場はラスト・イニングが近づくと指摘していました。これも一見すると弱気予想に思えますがそうではないと思います。もう少しはいけるというメッセージです。
また、ゴールドマンは、米リセッションが心配するならこれを買えと銘柄を推奨したりもしています。ETFによるインデックス投資買いは、下げ相場には弱いです。手数料の安いETF投資から、個人投資家を取り戻し、俺たちに運用を任せろといいたいのでしょうか?
どっちにしろ、FRBとその中の人のGSは万年強気なのでその強気予想はあてになりません。

モルガン・スタンレー
ゴールドマンのライバルであるモルガン・スタンレーは、日米の脆弱な消費者需要などを理由に、世界経済が2016年に景気後退(リセッション)入りする可能性が、最大20%あるとの見方を示しています。

JPモルガン
GSやMSといった投資銀行は、それでもまだまだ楽観視しているといえます。
JPモルガンはもっと現実的で、米経済が、今後3年内にリセッションに入る確率を76%と予想しています。
また、投資家に対して、あらゆる戻り局面を売りの機会に使うべきだと提言し、ずっと続けてきた押し目買い(リバウンド狙いの逆張り)推奨の見解を覆しています。

シティグループ
シティグループは、さらに現実的です。シティは、米経済が2016年にリセッションに入る確率が65%に上ると予想しています。これにはFRBもカンカンでした(笑)。

ドイツ銀行
ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、ジョセフ・ラボーニャ氏は、「米経済は6気筒エンジン搭載車のようなもので、気筒がどんどん壊れていっている」と指摘しています。

ブラックロック
世界最大の資産運用会社であるブラックロックのグローバルチーフ投資ストラテジスト、ラス・ケステリッヒは、相場の底打ちが示唆されるためには企業業績か経済指標、中国経済の改善といったファンダメンタルなきっかけが必要だと指摘しています。

その他
不動産王サム・ゼル氏は、1年以内に米リセッションの恐れがあると発言しています。
ブル派の代表格であるラズロー・ビリニーも、原油安やサウジアラビアとイランの緊張、中国株の急落、アップルのサプライチェーン問題などを挙げて、株式について2009年以降で最も懸念していると発言しています。
アップルバブル崩壊は、アップル一社だけの問題でなく、アップルが牽引してきた米株式市場全体に波及します。

先進国は経済が成熟しています。人口動態は悪化し、労働生産性も伸び悩んでいます。構造的に成長が加速することは今後ありません。
これに対して、新興国は、人口動態がよいですし、鈍化したとはいえ、先進国比で生産性が伸びています。
市場の価格発見機能が正常であれば、資本は利潤を求めて先進国から新興国に流れるはずです。
しかし、米や日本、そして欧州の中銀がこれを歪めました。
株などの資産価格を釣り上げてなんとか成長の鈍化を食い止めようとしました。
そのために、日銀やECBは円やユーロを切り下げてドル高を演出し、新興国に流れていたマネーを米国の資産市場に逆流させました。そのトリクルダウンで欧州や日本の株や不動産価格も上昇しました。
さらに、FRBは、米国が長期停滞に陥って自然利子率がマイナスであり、かつ、短期の景気循環も下向きであるにもかかわらず利上げを強行しました。
これで、資産価格だけでなくうわべの経済指標も改善(粉飾)されましたが、結局、恩恵を受けたのは資本家だけでした。リーマン後の米日欧の中銀の金融政策で格差拡大が加速しました。これが世界の総消費の伸びを抑え、需要不足の原因になっています。
その中銀の恩恵を受けてきた資本家たちが、直近のダボス会議では、「もはや各国の中央銀行は我々を助けてはくれない」として、今はキャッシュポジションだとしています。
かれらは別に今株を全部利確しても、キャッシュだけで、自分の一生だけでなくその子孫の何代かは悠々と暮らしていけるでしょう。
しかし、一般の国民はそうはいきません。
年金や保険などの基金は運用益をあげる必要があります。
それではなにに投資すべきなのでしょうか?
ピケティによると、大学の基金のなかで長期にわたって運用成績のいいのは、ハーバードなどの規模の大きい基金だということです。アメリカは大学入試が事実上なく学歴は金で買われます。日本でも慶応などは寄付金が多いですが、幼稚舎に寄付するのとは桁が違います。
日本では普通の金持ちが東大にいきますが、アメリカでは、超大金持ちしかハーバードにはいけません。大学の学費は高騰しており、学費のローンは自己破産できません。アメリカは階層が固定化し社会モビリティは主要国中最悪です。アメリカンドリームは死にました。バーニー・サンダースがアメリカの若者に人気を集めているのはこのためです。ヒラリーはリベラルの皮を被ったウォール街の資本家の犬の右翼です。人気とりのためにリベラルのように表面を装うのは、トランプ、デンマークなどの極右や安部政権と同じ手法です。
また、アメリカはセーフティネットが弱いので、ベンチャーのチャレンジもできません。アメリカの起業は激減しています。
結局、リバタリアンが理想とする能力主義、イノベーションは、北欧などの大きな政府の国ほうがうまくいっているようです。
神の手も創造的破壊も幻想でした。
これが、新自由主義の市場放任の帰結である世襲資本主義、資本多数決的民主主義です。
その、ハーバード大など名門大学の寄付基金が、新興市場のETFの保有を拡大しているそうです。
今のところは損していることになりますが、基金などの機関投資家は長期投資が基本です。今後、新興国市場は上昇に転じると予想しているのでしょう。
株が売られると逆相関の米国債や金が買われます。
米国債の場合は、今後、新興国が為替防衛で米国債を大量に売却するリスクがあります。
経常黒字国の中国にとって外貨準備は特に必要はありません。人民元がSDRに採用され、貿易決済に自国通貨を使えることもあります。
今は、巨大化して流動性の問題で運用が困難だったドルを高値で売りさばくチャンスといえます。ドルやドル債が暴落すれば巨額の損失がでて責任問題になりますから、その前に少しでも減らしておきたいところです。
最近、人民元は下落が続いていましたが、国営新華社が、投機家による元の空売りをけん制したことで、急反発しています。
中国は資本移動の自由が規制されています。それでも、最近まで人民元安を放置していたのはそのほうが、都合がよかったからです。SDR採用までは為替介入をおとなしくしていたこともありますが、短期の景気のテコ入れ目的もありました。
そして、できるだけ売りさばくまえにドルを高値につりあげたいというのがあったのでしょう。
企業のドル債務負担を減らすため、そして人民元の基軸通貨化のために、いつか中国はジャック・アタリが予想するようにドルを見捨てます。そうれなばドルは対人民元で暴落するでしょう。
ソロスがイギリスを空売りしたのや、欧米の投機家がアジア危機でタイを攻撃したのとは相手が全然違います。資本移動規制と巨額の外貨準備で元売りの投機家は軽く捻り潰されるでしょう。それより、ここ数年、外国人投機家が日本国債を買い続けていますが、それがXデーにむけた弾の補充であるならば、そのほうが怖いでしょう。中国よりも日本のほうが陥落しやすいはずです。

このように中国などの新興国が、通貨防衛で、米国債をまとめて売ってきた場合、QEによって米国債の流動性が低下していることもあって、思いがけず米国債が暴落する危険があります。
こういう先がわからないときは、やはり金がいいと思われます。
最近では、金ETFの現物金保有高が増加してきているので、株式投資家が相当数、金市場に戻ってきていると思われます。


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[ 2016/01/26 06:33 ] おすすめ | TB(0) | CM(1)
全く逆の視点でおもしろい
一般的な現状認識では、中国からの資本逃避や資金流出食い止めようとしていると思われているのだが、管理人の認識では、高値で売りさばき少しでもドルを減らしたいと努力しているという。うむ。

一般的な現状認識では、ドルが元を見捨てれば、元安となりドル建て負債がやばいと思われているが、管理人は元がドルを見捨てれば、ドルは元に対して暴落だという。

そういえば韓国も、日本とのドルスワップは、日本を助けることになるので延長する必要はないとか言っていたな。

皮肉ではなく同じ現象をみても、全く逆の意見になるのが面白い。
[ 2016/01/28 11:08 ] [ 編集 ]
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