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米中貿易戦争、最終勝者は?


米中の外交交渉は決裂し、関税の引き上げが決定しました。さらに米国は中国からの輸入品全てに関税をかける手続きをし進めています。
この貿易戦争の帰結は、予想が困難です。
この問題に関しては、どうしてもイデオロギーのバイアスがかかり、その判断が狂います。
日本の右翼などがそうです。
この戦争は米国の完全勝利に終わるとか言っている人はおめでたいとしか言いようがありません。
この戦争に勝者はいません。米国も中国もダメージを受けます。
そのどちらがより被害を受けるかも予想が困難です。
IMFなどが中国がより大きなダメージを受けると予想する一方、欧州中央銀行(ECB)などは米国がより大きなダメージを受けるとしています。日本のシンクタンクの予想もまちまちです。
個人的には、生活必需品の多くを中国製品に依存する米国のダメージが大きいと予想します。
物価上昇により個人消費が停滞し、GDPが大幅に低下するでしょう。
一方、中国は米国の関税の対象国に対する輸出が拡大することや、新興市場への輸出が前年度増加率9.1%と急増して米国への輸出の依存が低下していることで、対米輸出の減少を緩和することができるでしょう。
トランプ「25%」表明に対する中国の反応と決定に対する中国の今後の動向
また、中国は、人民元切り下げや米国債売却により、関税の負担を軽減することも可能です。

予測困難なのは、マーケットです。
流動性が収縮し、ボラティリティの上昇が不可避の今のマーケットでは、貿易戦争に関するちょっとしたニュースでも市場参加者は過剰反応するでしょう。
データに関係なくボラティリティは上昇する:モルガン・スタンレー
易戦争拡大により株価が暴落すれば、より大きなダメージを受けるのは中国より株式がバブル化している米国です。
株価暴落に対する実体経済の影響は、中国より資産効果への依存度の高い米国の方が大きいでしょう。
また、アップルなどのハイテク、IT関連企業のダメージは深刻です。米国の株バブルの多くがこれらの企業が牽引しているからです。
米国のファーウェイへの攻撃は失敗し、ほとんどの国がファーウェイを締め出すことはありませんでした。
米国の攻撃後もファーウェイの急成長がとまらないのに対して、アップルやクアルコムは失速しています。
貿易戦争が加速すれば、中国人のアイフォン離れは加速するでしょう。
中国の補助金に依存するアップルの中国工場の他国への移転はそう簡単にいかないでしょう。
技術的にもファーウェイを筆頭とする中国のハイテク企業の特許出願数が増加する一方、米国のそれは設備投資と人材の不足で低迷しています。
G5、バイオ、ビッグデータ、AI、IoT、ロボティクス、フィンテック、宇宙開発などの分野で米国は中国に猛烈なキャッチアップを受けています。
米国の貿易戦争の目的が知的財産権の保守ならば、その目的の達成は困難でしょう。
トランプの選挙の勝利が目的ならば、その達成は可能かもしれませんが。

トランプが就任してから、米国実体経済は絶好調と喧伝されていますが、実際、労働参加率は低下しています。
形式的にGDPの数字は伸びていますが、実質的な成長はほとんどないでしょう。
そのGDP成長率以上に、GDP比債務は急増しています。
ジェフリーガンドラックが指摘するように、2018年、米国の債務対GDP比率は6%ポイント増加しているのに対して、名目GDPは5.1%増と、債務の増大に見合う経済成長が実現していません。
財政出動の乗数効果がなくなっているどころか、政府が使った分さえGDPが増えておらず、借金で見せかけの成長率を演出しているだけなのがわかります。
ECBや日銀流の本当にひどく異常な政策:ジェフリー・ガンドラック
これは、長続きしません。
レイダリオが30分でわかる経済の仕組みで挙げた三大原則の一つ、「所得より早く債務を増加させない。でないと債務負担が耐えきれなくなるから」という原則に反するからです。米国は長期債務サイクルの最終局面にいます。
その一方で、中国も借金まみれですが、財政出動すれば、そのぶん、景気を支えるだけの効果が米国よりもあります。
景気テコ入れのために。金融緩和に転換し、財政出動を増加した中国の第一四半期の成長率は市場予想を上回りました。
政策の効果にタイムラグがあるにも関わらず、即効性があるように見えます。
可処分所得の伸び率が安定的に推移していることで、雇用や個人消費、企業の設備投資は堅調です。
米国もその恩恵を受け第一四半期のGDPの数字は悪くなかったです。中国が貿易戦争で一部妥協したことも米国のGDPに寄与しました。
これから、米中の貿易戦争が泥沼化し、両者の経済成長が鈍化しても、中国の方が財政出動の余力と効果があるぶん、長期戦を戦えるだけの持久力があると思います。
少なくとも、日本の右翼が期待するように、日米とも多少の痛みを伴うが、これで中国を潰せるというのは彼らの希望的観測にすぎないでしょう。
どちらにしろ、これから先は予想が困難です。
トランプや米国の指導部が私たちの知らない情報をたくさん持ち、優秀な専門家が分析していることから、この貿易戦争は勝算ありと判断して強気に出ていると言う推測もまちがいでしょう。
フィリップ・テトロックが指摘するように彼らの分析や予測は、素人や猿と大差ががありません。
我々としてできる対処法は新しい情報が入っても過剰反応しないことです。


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[ 2019/05/12 04:07 ] その他 | TB(0) | CM(0)
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