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凋落する米国に一発逆転はあるのか?


ブリタニカ国際百科事典によると、恐れとは典型的な情動のひとつで、有害な事態や危険な事態に対して有効に対処することが難しいような場合に生じるそうです。
恐怖は人間の生存本能が引き起こす強力な情動です。
そして、右翼の本質は知性で恐怖をコントロールできないエゴイズムです。
世界が右傾化しているのは、自らの既得権益である生活の将来に不安があるからです。
格差が拡大し、冷戦期レベルの核戦争の危険性が高まって恐怖が増大しています。
米国が引き起こした中南米や中東の戦争や暴力や経済制裁から、大量の移民が発生し、それが多数派である知的経済弱者たちの自分たちの仕事を奪われるという恐怖の原因になっています。
右翼の新自由主義・ネオコンの政治家やその仲間たちが、本来なら自分たちに向ってくる彼らの怒りを、移民などの弱者に矛先を向かうように扇動して支持を得ています。ターゲットにされる弱者は、米国では黒人やヒスパック、欧州ではイスラム系の移民、日本では在日や生活保護者でしょう。
グレアム・アリソンが指摘するように恐怖から逃れようとする行為が、人々を戦争へと駆り立てます。
今の時代は、実弾の戦争から、通貨戦争や貿易戦争にスタイルはかわってきていますが、多くの人が不幸になるのは同じです。
米国も覇権国家の交代期に戦争がおこるとするトゥキュディデスの罠にはまっています。
冷戦期のレッドパージ、日本に仕掛けたプラザ合意とその後のバブル崩壊、アジア新興国が台頭してきた時のアジア通貨危機、そして今の中国との貿易戦争などは、まさに米国の恐怖からくる過剰反応でしょう。
米国は経済で中国に購買力GDPで抜かれました。今後、名目でも抜かれて、その差は指数関数的に広がっていくでしょう。日本が中国に抜かれた時と同じです。
こういうと、認知的不協和を起こした右翼が中国共産党の経済指標は粉飾されていると反応します。
しかし、経済指標に下駄をはかしているのはどこの国も同じです。
日本でも、統計不正がばれました。
米国の指標もチェリーピッキングでごまかされていると思います。
精査すれば、もう数年前から米国はリセッション入りしているという見解もあります。
Shadow Government Statistics

米国は資本主義が成熟して生産性が低下しています。雇用も製造業が衰退し、生産性の低いサービスが中心です。
生産性向上のためには投資が必要ですが、貯蓄率は低く投資は低迷しています。
海外からの対米投資も資産売却を除けば、今やマイナスです。
トランプ減税により国内にレパトリした資金も投資先がないので自社株買いに流れています。
投資がないので生産性は今後も、伸びが期待できません。
人口動態も特殊出生率が、移民政策と格差拡大によって近年、急激に低下しています。
移民の出生率は2006年にピークアウトし、特殊出生率は昨年、1986年以来32年間で最低値を記録しています。
移民の流入数もヒスパニックを中心に低下しています。今の移民の中心は中華圏からなので今後激減するでしょう。国連の人口統計学の予測はあまりに楽観しすぎです。

リーマンショック後の世界の景気回復は中国の金融政策と財政出動が牽引しました。米国の金融緩和もQ1までは非常時の措置として有効だったかもしれませんが、そのあとの金融政策は、実質賃金向上、生産性向上に繋がらず、資産バブルと格差拡大で経済と社会を不安定にしただけでした。その米国の雇用回復の内訳の大半は低賃金で不安定な小売業や飲食店のアルバイトなどのサービス業でした。
ウォルマートやターゲットなどの米国を代表する小売業はその商品の4分の1から3分の1を中国からの輸入に頼っています。
米国は製造業が弱いため、国内でモノの自給ができません。
その小売販売員は消費者でもありますが、彼らは今度の貿易戦争の最大の被害者になります。
米国側である IMFですら追加関税のほとんどを小売業者と消費者が負担すると指摘しています。
貿易戦争が長引くことは不可避で、米国はリーマンショック後の雇用回復のほとんど全てを吐き出す可能性が高いです。
そうなれば、個人消費は低迷し、米国のリセッションは不可避です。

経済だけでなく米国は軍事面でも質と量の両面で優位性を失いつつあります。
ロシアにロケット技術で劣るため、欧州や中東、北極圏で劣勢になっています。
また、中国の物量と人海戦術の前に太平洋の制海権と制空権を今後、数年で失うでしょう。
米国が制空権を失う日

経済と軍事面で劣勢の米国の最後の砦になるのが技術力です。
しかし、その差は縮まってきています。
高等教育、研究開発を牽引する人的資本で米国は中国に大きな差をつけられています。
激化する米中貿易戦争

科学や芸術と言った知的財産は模倣とその組み合わせで進化します。
知的財産法の1条などで掲げられた知的財産権保護が創造のインセンティブになり知的財産全体を進化させるという理念は幻想です。
中国が米国から技術をパクるのは人類の進化の歴史の当然の帰結でしょう。パクリをやっていない国や企業はありません。
日本もパクリが得意な国です。その日本のリバース・エンジニアリング技術自体を中国はパクっています。アップルなんて技術面の革新的な部分は全てパクリですが、デザインもブラウンのパクリで社名までパクって裁判になっています。
米国で中国に技術面でパクることが容易ではない会社はグーグルぐらいでしょう。
それでも、米国としては、5GやAIなどの重要な技術で中国にまけるわけにはいきません。
一か八かのインパール作戦やバルジ大作戦のような勝負に出たのが今回の貿易戦争です。
米国は、ファーウェイへの制裁でルビコンを渡りました。
これで、貿易戦争は長期化と激化が避けられなくなりました。

しかし、ファーウェイへの制裁で、結局、米国陣営は、中国陣営に5Gで大きく遅れを取ることになると思います。
CPの高いファーウェイに対抗できる5Gのインフラ企業は米国にはなく、米国陣営側でもノキアとエリクソンしかありません。
それもファーウェイは少なくとも2年のアドバンテージを持っています。
ファーウェイは東欧市場などの新興国市場の囲い込みに成功しています。
国連加盟国196国のうち過半数以上の、126カ国が中国と一帯一路の協力文書に加盟しています。欧州も右傾化が進み、一枚岩ではないので、米国陣営から中国陣営にねがえるところがこれから増えていくでしょう。スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、トルコ、バルト3国やポーランドを除く、旧共産諸国などが寝返っても不思議ではありません。
人工知能の開発でも、人口が多く、アリペイなどが普及している中国が有利でしょう。
囲い込みが成功した側が5GやAIの勝者となります。

関ヶ原の毛利のようにドイツやインド、韓国などは、中国と米国のどちら側にもつかず、微妙な舵取りをしています。
勝ち馬に乗るため、一歩引いて、見定めているようです。
一方、日本の安倍政権は米国にベッタリです。敗色濃厚の米国陣営にどっぷりなのは国益を大いに損ねると思います。
ここ数年、安倍やトランプ、ルペン、ボルソナロといった右翼ポピュリストの台頭を見るように、選挙制民主主義にはプレビシットの危険があります。それに日本や米国といった縁故民主主義が加わると最悪です。
群衆の叡智が機能するのは情報や価値観が多様化しているという条件下だけで、選挙には馴染みません。
独裁もシンガポールのリー・クワンユーのような卓越した能力な人がすれば、民主主義より機能しますが、それは運も左右します。
エリートによる寡占政治も欠陥は多いです。
もっとも、中国ではその弊害が緩和されています。
グレアム・アリソンが以前、リー・クワンユーとの議論で聞いたところによると、中国では共産党内ではあらゆるレベルで人材の実力を測るシステムが構築されているそうです。習近平も最高権力者になるまで、まずは政治局にあがり、常務委員になり、副首相になって、ついには国家主席になったわけですが、小さな省から大きな省を任され、さらに上海、北京に……と中央に登ってくるまでに毎回成績をチェックされてきたそうです。一方で、アメリカの大統領は投票によって誰でもなれます。いい面もあるけれども、必ずしも政治的な訓練を受けていなくても、ピーナツ農家やテレビ司会者が政治家になれるというアメリカのシステムと、中国のそれは随分違います。
スーパーパワーとして自信を深める中国 その強力なリーダーを選び育成する仕組みとは?

歴史を見る限り、必ずしも、チャーチルが言うように民主主義がマシというわけでもないようです。
フィリップ・テトロックやダン・ガードナーの主張するようにエリートチームの予測力とそれに基づく判断は、群衆の叡智に優位すると思います。

市場も貿易戦争の長期化がコンセンサスになってきたようです。
それでも金価格が上がらないのはなぜでしょうか?
中国陣営はドルと決裂し、自国通貨の担保力を強化するために金準備を積み増していますし、中国やインドの現物需要は旺盛です。
それでも金ETFの買いが進まないのが金価格低調の理由でしょう。
それは、米国株がたいして下がっていないためです。リスクオフにならないため金の安全資産としての評価は低いままです。
貿易戦争が激化しているのに、市場が楽観しているのは、循環論法のようですが、米株が底堅いからです。
米株が底堅いのは、米国企業が将来不安から、今のうちに資本家に還元するために自社株買いを増やしているためだと思われます。
もっとも、それが一巡すれば、昨年末のブラックアウト期間のように株価は急落すると思います。
そうすれば、市場は弱気一色になり、ボラティリティが上昇し、株価は後世に名前が残る暴落を見せると思います。
金は、最初はリーマンショックの時のように、追証のための換金目的で売られるかもしれませんが、それから急上昇してくと思います。


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[ 2019/05/28 01:36 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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