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オランダの覇権の終焉と今の米国の類似点。レイ・ダリオ氏の「The Big Cycles Over The Last 500 Years」


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The Big Cycles Over The Last 500 Years
レイ・ダリオ氏の「The Big Cycles Over The Last 500 Years」を翻訳してみた。
資本主義の本質は株式と国債です。
オランダは、1602年、世界初の上場公開株式会社(オランダ東インド会社)と最初の証券取引所を発明しました。
そして、そのライバル国であるイギリスが戦費調達のため、1694年、イングランド銀行を設立し国債を発明しました。
株式と国債は、社会に散在する少額資本を結集して、資本家に融資し大規模経営を可能とするアイデアです。
株式や国債は、強制的に徴収する税と異なり、容易に金を集めることができます。
株式は大規模経営というスケールメリットで市場競争で圧倒的優位を得ることを可能としました。
国債は巨大な国営の軍隊を維持することを可能としました。

オランダは世界初の資本主義覇権国です。
当時、ヨーロッパの人口は増加の時期にあり穀物の需給が逼迫していました。しかし、オスマントルコの台頭により、地中海の制海権が奪われ、黒海沿岸の穀倉地帯からの穀物の海運ルートが遮断されました。
その代替としてバルト海沿岸の穀物供給ルートがクローズアップされました。この穀物供給ルートを独占したのがオランダです。
現代経済学の直感的方法
スペインのパトロンであったイタリアの資本家はスペインを見限り、オランダに移住しました。
オランダは1581年にスペインから独立した後、スペインを打倒し、グローバルな貿易帝国をつくりあげました。
そして、ギルダーは金や銀以外では、はじめて世界のどこでも通用する基軸通貨となりました。
ギルダーは、すべての国際取引の3分の1以上を占めました。
しかし、繁栄を謳歌したオランダはやがて衰退していきます。
ヨーロッパの農業生産は順調に増加していき、穀物の需給はゆるみはじめました。
人口が少なく工業や農業などの実体経済の成長に限界があるオランダは、中継貿易の利益を失うと、ギルダーのシニョリッジや株式市場・国債市場の金融バブルによる利益に頼り始める。
そうして、有名なチューリップ・バブルが発生しました。
オランダの貿易の利益全体の2%程度にすぎない東インド会社株にバブルが発生しました。
そのバブル崩壊を防ぐために、ギルダーは乱発されました。戦費の負担も大きくなっていき国債が乱発されました。オランダの債務は拡大していく。
ギルダーは、金銀複本位制をとっていましたが、ギルダーの乱発で信用が失うにつれて、アムステルダムの銀行に現引きが殺到し、金や銀が流出してきました。
結局、産業革命を成功させて実体経済が大きく成長したイギリスにオランダは破れ、覇権はイギリスに移りました。
基軸通貨はギルダーからポンドに移りました。
当時の英蘭間の関税合戦や貿易戦争は、今の米中貿易戦争と酷似しています。トゥキディデスの罠に陥った覇権戦争はなんでもありの世界です。
その後、イギリスはオランダと同じ道をたどりました。
巨大な帝国の維持と2つの戦争を戦うためにイギリスの債務は膨れ上がっていきました。
ポンドは金本位制度を維持できなくなり、金は米国に流出していく。
その米国も世界恐慌から景気回復のための公共投資としての第二次世界大戦を戦うために債務が拡大していきました。
その間は、一時的に米国も金本位制を維持できなくなりました。
しかし、第二次世界大戦の結果として、世界中から金を集めた米国はイギリスから覇権を奪い取りました。
ドルは基軸通貨となりましたが、その米国もベトナム戦争を戦うなかで債務が拡大し、再び金本位制を放棄せざるをえなくなりました。
その後、50年なんとか軍事力と金融バブルで延命してきましたが、今、その覇権の座を中国に譲ろうとしています。
中国はオランダが覇権を握る前までは世界の覇権国でした。
中国は金を集めています。国だけでなく、金融抑圧によって国民に金を買わせています。
巨大な貿易黒字を抱える中国は、今すぐ人民元を基軸通貨にするつもりはないでしょう。当面は、すでにIMFのSDRには人民元が組み込まれているので、その構成比率をあげて、SDRを次の基軸通貨へのつなぎとすることを選択するでしょう。
もっとも、自国の貿易ブロック(上海協力機構、一帯一路)内で、デジタル人民元を準基軸通貨のようにする気はあるかもしれません。
米国政府もこれに対抗して、最近、米国中心の経済ブロック「経済繁栄ネットワーク(EPN、Economic Prosperity Network)」の構築を提案しています。
もっとも、反米感情の強いカナダやフィリピンを誘っていないことや、積極的に参加を呼びかけている韓国が静観していることなど前途多難です。
欧州方面でもドイツやイギリスが政治的にはともかく、経済的には中国と接近したい姿勢をみせています。
衰退化している米国に以前のような求心力はもはやないようです。
米中の覇権をめぐる新冷戦はまだ始まったばかりです。
日本も中国につくか米国につくかを迫られています。いままでのようにどちらにもいい顔をするのは通用しにくくなっていると思います。
韓国ではその議論が盛んなようですが、正常化バイアスのためか、日本ではほとんどの人が感心ないようです。
右翼は、チベットやウイグル、台湾、香港などを大義にして中国を批判し、米国側につくべきといっていますが、米国やその他の西洋諸国が他国にこれまでしてきた人権侵害はその比ではありません。
米国はその242年の短い歴史の中で戦争をしていなかったのは16年間だけです。
人類史上もっとも他国の人間を殺した国です。日本も300万人殺されています。
今も、カラー革命でしたように暴力を煽って民主化ドミノで親米国家を誕生させたように香港のデモを金銭支援するなど他国の内政に干渉し、台湾に魚雷を輸出して軍事的対立を煽り、ロシアに難癖をつけて領空開放条約から離脱し、そして米ソ冷戦後、中止されていた再び核実験を再開させるそうです。
最近、武器管理問題大統領特使に任命されたマーシャル・ビリングスリーは、ロシアと中国を殲滅するために、ロシアと中国を合わせた以上の核戦力を持つ準備をすると発言しています。米国こそが人類の脅威です。
中国に問題があるのは当然です。中国は、欧米や日本から遅れた最後の帝国主義国家でした。第二次大戦後の延長戦で、東トルキスタン、チベットなどの他国に侵攻して植民地化した。台湾や香港は内戦問題と言い訳できてもここは対外的につっこまれるときつい。
問題のない国などこれまでの人類の歴史でありません。覇権争いはきれいごとではありません。人類の歴史で、立派な大義を主張して消えていった国をあげると暇がありません。
しかし、汚れたハンカチのなかではどれがマシだという選択が必要です。米国よりは中国がマシだからといって中国の問題が許されるわけではありませんが、打算ではなく、その価値観を含めて、どっちを選ぶかを考える必要があります。
イングルハート-ヴェルツェル図からみて、価値観が近いのは米国ではなく中国です。
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日本と米国とは民主主義では共通するが、宗教で大きな差がある。キリスト教原理主義の福音派が政治の主導権を握っている米国とは価値観で分かり合うことは不可能でしょう。少なくともステレオタイプ的米国人は日本人とその文化を内心は差別している。中国の大衆は反日感情が強いが、それは憧れの裏返しみたいものでもあり、日本文化への敬意がある。
日本は安全保障と経済の両面で米国より中国側につくメリットが大きい。そして価値観の面でも宗教色の弱い仏教徒、儒教徒と共通点は多い。
しかし、戦後、日本が米国西洋文化に洗脳されてきたのも事実です。特に45歳から65歳の男性にその傾向が強い。
そして、その年齢帯の人が今の社会で実験を握っている。
その世代は社会競争に破れた人も多い。彼らは自分の自尊心の欠如を国と同一化させることで補っている。日本という国は偉大で、自分も日本人だから偉大だという理論の飛躍です。彼らにとっては反日はみずからのアイデンティーの攻撃と同じです。中国や韓国を批判することは、自分の自尊心を守るためなのです。
しかし、彼らもそろそろ現実を直視する必要があります。
意地をはって豊臣の軍門に降らず滅びた北条家のようにはなってはいけません。
一部の声の大きい指導者たちのケチなプライドのせいで犠牲になるのは、その他多くの民衆です。


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[ 2020/05/24 17:40 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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