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バーナンキは間違ったのか?


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foxbusiness
バーナンキFRB議長は、FRBによる通貨の供給不足が1930年代の大恐慌の原因だとするマネタリスト、ミルトン・フリードマン教授の学説の信奉者です。
バーナンキは、2002年のフリードマンの90歳の誕生パーティーにおいて次のように発言しています。世界恐慌の際、引き締めをしたのはFRBの間違いだった。デフレ克服のためにはヘリコプターでお金をまけばいい。FRBは二度と間違いを犯さない。フリードマンあなたは正しかったと。

もっとも、マネタリズムは、貨幣供給量が短期の経済変動に大きな影響を与えると考えることから、裁量的な貨幣供給・金融政策に否定的であり、ルールに基づいた政策を行うべきだと主張するものです。
バーナンキは、フリードマンの説の貨幣供給の点だけをいいところどりで、自説の根拠につかっていますが、裁量のしばりがある点はを無視しています。それは、裁量的な財政政策への傾斜を強めていっていたケインズ的総需要管理政策に近いものでした。
やがて、バーナンキは理事から議長に昇進し、FRBの権力を握りました。

バーナンキは、リーマン・ショック後の第二次大収縮を、第一次大収縮である世界恐慌のようにはしないと、量的緩和を始めました。
これに対して、経済学界の大御所アラン・メルツァーがバーナンキに噛み付きました。
メルツァーは、知の巨人ケインズにドンキホーテのように挑戦したミルトン・フリードマンらマネタリストの一員で、当時から今日まで続く経済論戦の生き字引です。
メルツァーはまた「FRB史」の著作で有名です。
メルツァーは、過去の例からみて、バーナンキ議長の取り組みは涙の結末を迎えると指摘しました。また、インフレ率は「1970年代を上回る水準(13.3%)に上昇するとの見通しを示しました。
ケインズ学説に賭けるFRB議長-70年型高インフレ再来の恐れも
結局、インフレ率はいまの時点では上昇していません。ポール・クルーグマンらリフレ派はいつものドヤ顔でホラみたことか予想は外れたと指摘しています。

そのアラン・メルツァーが、最近、世界最大の言論組織とされるPROJECT SYNDICATEに寄稿した「量的流砂」という論考が話題になっています。
要旨は以下のとおりです。
・量的緩和が機能していない証拠は、QE1では98%、QR2では99%の緩和マネーがFRBの当座預金に残ったままであること。
・当座預金には金利が0.25%つく。わずかな金利だが預金金利がゼロに近いので銀行の利益になる。
・今の低い金利では政府や安定した大企業、商業不動産のディーラーにしか貸し出せない。ベンチャー起業や初めて家を買うようなリスクのある人には貸し出せない。貸出しは刺激されず、銀行と投機家しか恩恵を受けていない。
・このように金融政策が実体経済の問題を解決することはできない。
・実体経済に金が流れてこないので、インフレの影響が抑えられているが、当座預金が膨大にふくれあがっている間はアメリカは永遠にインフレを免れることはできない。FRBなど中央銀行が当座預金に積み上げているマネーは最終的に使われるものである。

砂浜では、波が引くとき、足の裏の砂が流されて、足元をすくわれます。
デンマークの物理学者パー・バクは、カオス理論や複雑系のバタフライ効果の例えで有名なのベキ分布を「砂の山」と表現しています。
「砂は最初のうち何ごともなく積もっていくが、しばらくすると、そこに一粒の砂を加えるだけで、いつ山が崩れるかわからない不安定な状態になる。システムの規模がある大きさになると、不安定な“臨界”状態に達することが多い。そうなると、さまざまな混乱が生じ、砂の山の崩壊のような現象が起こる。それが自然界における複雑な動きとなるのだ」。
「不連続変化の時代」(ジョシュア・クーパー、ラモ著)参照

今はインフレはおきていませんが、砂は少しずつ流れはじめています。ある閾値を超えるとそれは急上昇する可能性があります。マンデルブロはバブルの崩壊はあると予想できるが、いつあるか予想することは不可能としています。インフレ率上昇もバブル崩壊と同じだと思われます。
Quantitative Quicksand


バブルに関しては、バーナンキは以下のようにバブルを容認する発言をしています。

「グリーンスパンもバーナンキも、FRBの主要任務である成長と物的安定を脅かしかねない水準に達した場合を除き、住宅価格に過大な注意を払うべきではない、と強く主張した。バーナンキはFRB理事になる前の2001年にすでに、ニューヨーク大学のマーク・ガートラーと共同執筆した論文の中で、同じことを公式に堂々と述べている。」
「バーナンキはまだFRB理事だった2004年に、不適切な融資基準に起因する住宅バブルには規制政策で対応すべきであって、金融政策の範疇ではないと述べている。」
「国家は破綻する」(ラインハート&ロゴフ)


「バーナンキらは現在の方針が正しいと主張し、中央銀行が資産価格の上昇に介入するのは、「不確実性」のために不可能だと反論している。まったく馬鹿げた反論だ。金融政策の決定にあたっては、不確実性はかならずついてまわる。不確実性があるからといって、中央銀行はインフレ率を抑えようとする政策をとらない理由にはしていない。バブルを抑える政策をとらない理由になるはずがない。」
「今後、FRBの指導者に必要なのは資産バブルをしぼませる権限だけではない。その権限を使う意思が必要なのだ。
また、世界金融システムのなかで、FRBの力に限りがあることも認識しなければならない。これまで60年以上、アメリカとドルは圧倒的な力をもって世界に君臨してきた。この時代は終わろうとしているとも思える。この困難な移行をどう管理するかが、今後の危機がどれほど起こるかを決める大きな要素になるだろう。」
「大いなる不安定」(ヌリエル・ルービニ)


「バーナンキFRB議長は20日の会見で珍しく株式市場についてコメント。「株式市場についていえば、現時点において歴史的なパターンから逸脱しているとは考えていない」と米株高を「容認」するような発言を行った。」
流動性相場継続に安心感、日米緩和期待で株式・円債が同時高

また、バーナンキは、フリードマン著の古典「選択の自由」を記念する会議(2003年)で、「フリードマンが著書「貨幣理論における反革命の結論」において提示した鍵となるマネタリストの定理11個を挙げ、貨幣が経済にどのように影響を及ぼすかについてのフリードマンの基本的な考え方を示す説得力のある説明としています。
この定理では、貨幣成長率と名目所得成長率の相関はタイムラグもあり、精緻さ、明白さに欠ける。実証的には完全に程遠いとしています。
この実験を今、権力を手にした、バーナンキや黒田総裁は現実の金融政策でおこなっています。

フリードマンといえば、「インフレーションとはいついかなる場合も貨幣的現象である」というセリフが有名ですが、この定理では、「産出を上回る貨幣の成長によってのみ引き起こされるという意味において、インフレは常に貨幣的な現象である」としており、一定の条件の留保があります。
「短期において貨幣成長は産出に影響を与えうるが、長期においては産出は企業家精神や節倹などの実物要因によって厳密に決定される。」という他の定理と併せて解釈すれば、貨幣成長だけでは長期的には産出に影響を与えることができず、貨幣成長だけが続けば、いずれインフレになるということになります。今の量的緩和ではインフレにはなっていませんが、日本もアメリカもいずれインフレになることになります。それをアメリカは望んでいないようですが日本は意図的にそれをインフレターゲットとして歓迎しています。
フリードマンの定理からすると、アベノミクスで長期的にはインフレ目標は達成できることになりますが、産出に影響を与えなくなってからインフレが上昇するので、日本のリフレ派がいうようにはそれで景気回復とはならないようです。

また、この定理では「貨幣緩和は短期的に利子率を下げるが、長期的にはそれを上昇させることになる。」としています。
QE1、QE2までは米国債の金利は下がっていましたが、QE3では金利は逆に上昇しています。
日本の場合は、金利低下の期間はより短期間でした。アベノミクス期待で、黒田バズーカ発射直後までは金利が下がっていましたが、その後は金利が上昇しています。
バーナンキ講演-2003年「M&R フリードマン「選択の自由」の遺産」会議上にて

世界中の中央銀行が量的緩和を続けるかぎり、いずれ金利は上昇し財政危機がおこります。アメリカにだけにはダブルスタンダードの格付け会社も自社の信用の維持のためにいつかはアメリカの格下げをせざるを得ません。
そして、インフレ率も上昇します。ロゴフらによると、財政危機と高インフレ、ハイパーインフレは同時に起こることが多いと実証されています。
金価格はしばらくは、レンジ内のヨコヨコの動きで、量的緩和により不安定になった相場の波に左右されることが予想されます。しかし、いずれ、インフレ率上昇、財政危機へのヘッジで大幅な上昇が期待できます。その具体的な時期までは予想できませんが。


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[ 2013/06/09 23:11 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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