9月14日、リバースレポの落札額の累計は、約1兆ドル1.169兆ドルに達しました。
6月に連邦準備制度理事会がリバースレポレートを5ベーシスポイント引き上げることを決定して以来、このオペレーションの利用は急増し続けています。
9月の第1週の時点で、FRBのバランスシートは8.34兆米ドルに拡大し、リーマンショック後6年以上の量的緩和政策のピークのほぼ2倍になりました。
その背景にあるのが債務上限問題です。
債務上限が引き上げられなければ、10月中にも財務省の資金調達手段が枯渇するとの試算も。
米国財務省は、債務上限に近づくにつれ、過去数か月の財務省証券の発行を削減しました。
また、財務省は、一般口座(TGA)の預金残高を削減をせまれたている。
預金残高削減は、民間にマネーが供給されることを意味する。それが過剰流動性になる。
しかし、財務省短期証券は不足しているので、余剰マネーは行き場がなくリバースレポを利用するしかなくなる。
一時的には過剰流動性を吸収することになるが、リバースレポには利子がつく。
結局、リバースレポの増加は余剰現金をもたらす。
短期債が不足しているので、リスクの高い期間の長い米国債を買わざるを得なくなる。
債務上限の問題は、10月まで、さらには11月初旬まで行き詰まる可能性があると予想されている。
それまでは長期金利は下がり続ける。
一部市場参加者は、テーパリングによって金利が上昇することを過度に警戒しているがそれは杞憂。
市場は11月にテーパリング発表(開始は11月か12月の年内)するというのがコンセンサスでこれは織り込み済み。
しかし、9月になってもデルタは猛威をふるっているので、11月のテーパリング開始発表は厳しくなったと思う。
9月の指標は10月に発表され、10月の指標は11月に発表される。
9月の指標は期待できない。10月に指標が回復するか確認する必要があるが、11月のFOMCは月初にあるのでそれは難しい。
テーパリングができるとしても、早くても12月発表(12月スタート)だと思う。
もっとも、過剰流動性はテーパリングがはじまったぐらいでは解消されない。
金利は低下圧力を受け続ける。
JPモルガンのストラテジストは、テーパリングが始まっても過剰流動性の歪みは続くだろうと予測。
FRBが2022年の8月にテーパリングを完了したとしても、金融システムに注入される流動性はさらに8500億ドルから1兆ドルになる可能性があるとのこと。
たとえインフレ率が上昇し、FRBが金融引き締めに転換してたとしても、流動性効果はしばらく続く。
バランスシートが二倍に拡大するぐらいマネーをすったのだから、小手先の金融政策ではこれはコントロールできないということ。
金相場参加者がテーパリングを過度に恐れる必要もありません。
過去の相場をみれば、2%を超える程度のインフレは景気にはプラスでリスクオン。しかも、FRBの引き締め観測で金利上昇することが多いので金相場にとってマイナス材料。しかし、インフレ率が3%を超えるようなギャロップインフレになれば金はアウトパフォーマンスすることが多い。
今のインフレ率は5%以上。
航空運賃や中古車価格、ホテル代などワクチンバブルの一時的な要因は剥落しているものの、賃料、医療費・運賃・教育費に影響がある賃金、コモディティ高などの構造的要因はこれからもじわじわとインフレ率を押し上げる。これらの数字は反映されるのにタイムラグがある。同じようにマネーサプライの増加と物価上昇にもタイムラグがある。
インフレ率の上昇はしばらく続き、高止まりする可能性が高い。
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