米国の投機筋はインフレ圧力によってFRBが金融引き締めに前のめりになり、金利が上昇することでドルが高くなるというコンセンサスを擦り付けようと必死です。
しかし、中長期的には、その可能性は低いと思います。
過去の歴史を見ると、中長期的に米国の貿易収支(GDP比)とインフレ率には高い相関があります。
インフレが一過性ではなく長期化すれば、米国の貿易赤字は拡大します。
貿易赤字が拡大すると、外国によるドルの受け取りが増え、ドル安圧力が生じます。
ドル安は、コモディティ価格を押し上げ、米国の輸入物価は上昇します。
相乗効果によりドルへの売り圧力は上昇していきます。
【マーケットを語らず Vol.16】2020年代はインフレの10年:米中対立金利が上昇すれが、利潤を求める短期投機筋が買いに向かうため、短期的にドル高圧力がかかりますが、金利による為替価格上昇は裁定が働くので結局はプラスマイナスゼロです。低成長・高金利・高インフレの国の通貨は将来的に実質金利低下で売られる運命にあります。
中長期的には貿易収支や財政収支が為替価値を決定します。
貿易赤字拡大だけでなく財政赤字拡大もドル安要因です。
バイデン政権の下、巨額の財政出動が予定されています。
それだけでなく、人口動態によりこれから米国は巨額の社会保障の出費を強いられます。
国債が大量に発行されます。
その結果、マネーサプライが拡大します。
銀行の預貯金は増える。
銀行はバランスシートの問題で米国債を買わざるを得なくなる。
その結果、米国債の大量発行にもかかわらず長期金利は下がり続けます。
その一方でインフレ率上昇します。
その結果、実質金利は下がります。
実質金利の低下は、ドルの資本利潤率の低下を意味するのでドルは売られます。
2010年代までは、中国を始めとする新興国の人件費は安かった。世界の工場である中国は世界中にデフレを輸出してきた。
しかし、中国でも人口動態が悪化してきているので、これから人件費は上がり物価は上昇する。
それは中国から商品を輸入してきた先進国のインフレ率を押し上げる。
今までは中国などの新興国は米国への輸出を増やすために、ドル安自国通貨高には為替介入を行ってきた。
そのため、ドル安には歯止めがかかった。
しかし、新興国は経済成長したことで、自国の消費者市場が拡大た。その結果、米国市場への依存が減少した。
インフレ圧力がかかりはじめた今、自国通貨安は望んでいない。
新興国の為替介入はこれから減っていく。
米中対立によって、米国がサプライチェーンを中国より人件費の安い国にシフトしようとしても、そういう国の大半はすでに中国ブロック経済圏に取り込まれている。
米ブロック経済圏は縮小し、ドルの使用量は減っていく。
自国に工場を戻せば、生産性が低下して、物価が上昇する。
それもドルが売られる要因になる。
米国内の富裕層が利回りが低下した米国の金融商品を売り、新興国に投資するようになる。
資本流出がドル売りに圧力をかける。
米国債、米株、ビットコインの魅力は薄れ、米国内への資本流入も減っていく。
ドルは売られるが、ユーロや円、スイス・フランといった先進国通貨もドルよりはマシな汚れたハンカチというだけで、弱いことには変わりない。
2020年代は、ドルが売られ、中国ロシア経済ブロック圏の通貨や資源国通貨、、金が買われる時代になる。
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