Astounding News
米国債の金利が上昇しています。
米国債の金利が上昇すれば、日米の国債の金利のキャップが拡大していきます。
アベノミクスによる円安がすすめばその拡大に勢いがまします。
そうなれば、そのギャップを埋める反動が生じ、日本国債の金利も上昇します。
ここ10年の日米長期債の金利差は1%~4%で推移しています。最近は2%程度です。
ジム・オニールのいうように米国債の利回りが4%になったとすれば、 日本の長期金利は2%に上昇します。
ジム・オニール:30年越しの債券上昇相場は終わった1%の金利上昇で約10兆円の利払い増加になるようです。
日本の税収は80兆円しかありません。
引用
日本国債の利回りが2.2%に増えれば、日本の現在の税収の80%は金利コストで食いつくされてしまう。
MAULDIN: I’m So Sure Japan Is Screwed That I’m Converting My Mortgage Into Yen引用
4月に発表された金融システムレポートによれば国内金利が長短一律2%上昇すると想定した場合、2013 年度の債券時価損失の発生を受けて、国際統一基準行の自己資本比率は相応に低下するため貸出を抑制し、2013 年度の銀行貸出残高の伸びはベースライン対比1.0%pt 下振れし、名目GDP成長率は、貸出の抑制や貸出金利の上昇などを通じた影響から、ベースラインから最大1.7%pt 下振れると試算されている。また、政府の財政への影響も深刻なものとなりうる。 実体経済が回復する前に現実のインフレ率(GDPデフレータ)が上昇したりはしないわけで、只でさえ世界で断トツの水準まで積み上げてきてしまった累積債務は国債金利が上昇した分だけ更に増加が加速する一方で、GDPの増加はそれを下回り、結果として更に累積債務の対GDP比が上昇することになりかねない。
長期金利の上昇はいかにしてアベノミクスを失速させるのか吉田繁治氏は著書のなかで次のように結論づけています。
引用
結論を言えば、世界の金融資産の平均利回りは、相当に長いスパンで、今後も3%を超えることはできない。合計負債がGDPの3倍(1京5000兆円)と大きいため、5%などはとんでもない高い金利(負債者が支払えない金利)になるということです。
利払いを超える成長をしようとすれば、金利が上昇しますのでますます利払いが苦しくなるジレンマに陥ります。
ポール・クルーグマンらリフレ派と論戦を繰り広げるリチャード・クー氏は日本のインフレが500%~1000%になる可能性を指摘しています。
Koo on reserves time bomb ? 500% inflationなお吉田繁治氏は前書において、戦争などによる生産手段の破壊がない限りは、ハイパーインフレはないと記述しています。
ただ、第一次大戦後のドイツのハイパーインフレは生産が回復した後で生じたものです。日本の戦争直後の500%のハイパーインフレも戦争によって生産手段の破壊と物資不足、そして泣きっ面に蜂の飢饉が重なった影響も大きいですが、戦時国債や兵隊の給料の額面の支払いを維持するために通貨を増刷したことが大きいと思います。
日本は利払い上昇の負担から逃げるために最終的に日銀の国債の全面的買い取りによるハイパーインフレを選択すると思います。そうなると円の為替価値は暴落するでしょう。
その際には最終兵器を使う可能性があります。
円高介入の名目のもと大量に買ったドル債です。
ドル債を積み増してきた本当の目的は円高対策ではなく、金を外貨準備に持たない日本の通貨危機への防衛手段だだと思われます。その戦略があるからこそ国民の血税を無駄につかうなと一部の近視眼的な批判を受けても、米国債を買ってきたのだと思います。、
日本が買った米国債への利払いはしなくていいようになっているみたいですが、アメリカの金利上昇によって日本の利払いは一方的に増えます。
日本は追い詰められると、これを売って円を守れという圧力が国内で高まります。
しかし、日本が、米国債を売らずに金を買わないことは、密約があるにしろ暗黙の了解にしろ日本とアメリカとの同盟の不文律になっていると思われます。
もし、日本がアメリカを裏切れば、アメリカは、預金封鎖、デノミ、新通貨などのルール変更のカウンターパンチをしてくる可能性があります。その新通貨が金本位を取り入れることになると、金の外貨準備を持たない日本は終わります。
もっとも、そんなシナリオを検討しないでも、アメリカ国債の金利急上昇で日本の国債の金利も結局急上昇して円は実効為替レートで暴落します。
したがって、ドル債を売り、円を買い支えることで、円の暴落を防ぎ、ハイパーインフレをアメリカに押し付ける政治的判断はなかなかできないと思います。抑止効果はありますが、結局は使うと死ねばもろともになる最終兵器の核と同じですから使うことはできません。
しかし、日本がドル債を売りにだすのでは?と市場が疑いはじめると、実際売らなくても、米国債市場はパニックで暴落する可能性があります。そうなればアメリカは終わりですし、日本も終わりです。
日本の銀行もアメリカの銀行も株主や取締役や社員たちが自分らの利益を預金者の利益より重視します。そして預金者の利益をその他国民全体国の利益より重視します。社会主義の国ではないので国は銀行に国債を売るなと強制できません。逃げ切った資本家たちははシンガポールやスイスあたりにそのままトンズラする人も増えるでしょう。スイスやシンガポールは喜んでたくさんのお金を持参する日本やアメリカの元金融関係者を迎え入れるでしょう。
金持ちは移住が簡単にできますが、普通の人はそうはいきません。金融屋とちがって、普通の付加価値を生む実業はその土地に密着しているものです。仕事や生活基盤を捨てて外国に移住するのは金銭的にも生活の上でも困難です。日本人には言葉の壁もあります。だれでも金融を仕事にするユダヤ人やジム・ロジャーズのようにはなれないのです。
残された私たちは政府に頼ることはできません。自己防衛が必要です。
そのためには金が重要になります。
災害に備えて、水や食料を備えておく必要性はあります。
それと同じように金融危機や財政危機に備えて金を用意していく必要があります。
前者の地震や原発事故といったブラックスワンより、後者の金融危機などのテールリスクのほうがはるかにおきる可能性は高いです。
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アメリカ国内も分裂していますが日本維新の会や自民党を見ると、アメリカ戦争利権派の指示道理でうんざりしております。
次の選挙は、真面目に国益を考えれる石橋湛山のような政治家に出てきて貰いたいものです。