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巨大ヘッジファンド・アメリカ。ルービンの悪夢再び?


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Yale University

クリントン政権における財務長官で元ゴールドマン・サックスのロバート・ルービンは一部では史上最高の財務長官といわれているそうです。
クリントン政権は、アメリカのなかでは相対的にリベラルとされる民主党政権でした。しかし、議会では共和党が多数派を握っている、いわゆるねじれ現象をおこしていました。そのため、クリントン政権化でアメリカは新自由主義化、格差拡大が急進しました。ルービンは、市場競争原理主義者であり、富裕層優遇、金融優遇政策を推し進めました。大統領経済諮問委員長であったスティグリッツや労働長官であったロバート・ライシュを代表とするリベラル派とは政権内で階級闘争を繰り広げました。
ルービンはいわゆるルービノミクスと呼ばれる金融政策で、経済成長が止まり、財政赤字と経常赤字の双子の赤字で苦しむアメリカを金融国家としての再生させようとしました。
ドル高政策をとることで世界中からマネーを集め米国の経常赤字、財政赤字を埋めようとしました。

このルービノミクスの戦略の中核になったのが、97年~98年のアジア危機、その後の、ロシア危機、南米危機などの通貨危機です。
アメリカは、新自由主義の旗印のもと規制は悪だというプロバガンダを繰り広げ、世界中に、金融に対する規制緩和の圧力をにかけました。そのことによって国家間の資本移動の自由が促進されました。もっとも、資本移動の自由は国債金融のトリレンマにより金融を不安定化させます。これがルービンの狙いでした。
アメリカは日本と共同することで新興国に資本を供給しバブルを演出しました。そしてその資本を急に引き上げることで新興国の通貨を急落させ金融危機を発生させました。ショック・ドクトリンです
潜在成長力があり投資が盛んだった新興国の景気は破壊されました。人々の投資意欲は削がれ、新興国のマネーの流れは投資から貯蓄に変わりました。
新興国の通貨危機はドル高を誘導します。新興国の急増した貯蓄マネーは、ドル高になったドル建て証券に流れることになりました。
水野和夫氏は著書「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」のなかで、「米国が実力以上の生活ができるのは、ASEAN諸国が実力以下の経済力で資本輸出国になったから」「アジア危機とは米国がグローバル経済に最適化するための、すなわち世界中のマネーを米国に集中させるための国際金融戦略だったといえよう」「米「帝国」化には、80年代の土地バブルと97年のアジア危機は必然だったのである。」と述べています。
大量に集まったマネーでアメリカは巨額の双子の赤字をファイナンスしました。また、このマネーは株高を演出しました。資産バブルによって終わったはずのアメリカの成長がまた始まりました。

しかし、その後はITバブル、リーマンショックとバブルが弾けています。そしてその実体経済への問題の先送りのために更に財政政策や金融緩和を続けています。バブルの破裂の後の実体経済と財政へのダメージはますます増加しています。
実体経済と財政への不信からアメリカは世界のマネーを集めるのが厳しくなってきました。
そこで、FRBがQEによって米国債を買い上げるという保証を与えました。ノーリスクで利益を上げることができるため多くのマネーを集めることに成功しました。
ところが、あまりに利回りが下がり過ぎ実質金利がマイナス圏にまでなったため、海外からみた米国債は長期のインカムゲイン目当ての投資としては魅力がなくなってしまいました。
そこで次なる手として欧州危機を発生させ、米国債が安全資産であることを強調し、質への逃避、流動性への逃避というシナリオを演出するという戦略がとられたようです。これは当初大成功しましたが、欧州危機は今は一段落し、また金利の上昇が再開しまいた。
そこで更なる手として期待されたのがアベノミクスです。日本の経済はアメリカが経済の実力以上の消費することに完全に依存しています。冷戦期のアメリカの軍拡競争をバブルで支えていたのは日本です。
日本で再度バブルを起こし、アメリカをファイナンスしようと考えたのです。日銀は国債買い上げによる利回り低下は市中銀行の運用を困難にします。流動性低下によってボラを上げて国債のリスク・プレミアムをあげることで株や外債とのリスク格差が縮小させます。そうして市中銀行を国債市場から追い出し、アメリカの国債や株式などハイリスクな投資をするように誘導しました。
もっとも、結局今のところ日本の金融機関による外債購入はほとんど観測されていません。
QE出口論は、米国からの資本流出を食い止めることができるのか?

追い詰められたアメリカはなりふり構わず、仕掛けてきます。歴史的にみて自国の短期的な利益につながらない限りは他国の利益なんてまったく配慮しないのがアメリカです。
今回のバーナンキショックは、アジア危機や欧州危機で成功した金融市場を不安定にするショック療法です。これでなんとか米国債の買いを復活させようとしたのかもしれません。
しかし、米国債は安全資産であるというストーリーは賞味期限切れのようでドル債権も新興国通貨や株とともに今のところは売らています。
今回の下落で、ツイストオペとQE3で買われた分は結局すべて吐き出してしまいました。

国の可処分所得であるGDIは、GDPから所得収支を引いたものです。
アメリカの経常収支は赤字ですが、所得収支は黒字です。アメリカの所得収支の黒字は、ハイリターンの新興国に投資して得た利益から、米国債の利払い負担をひいたものです。このまま新興国投資が下火になり、アメリカの金利が上昇すると所得収支が一気に悪化します。取得収支が赤字化すると、GDPの成長への寄与は二次関数的に悪化するようです(水野和夫氏)。フローの経済活動の成果を過去のストックの負の効果(経常赤字の累積)が食いつぶしてしまうことになるからです。
これはアメリカの経常赤字持続を困難にすることになります。また。成長がとまることでアメリアの財政赤字持続を不可能にします。
アメリカは国内の実業が衰退して投資先がありませんし、借金だらけで貯蓄率もひくくストックもありません。そこで、世界中から安価にお金を集め、それをハイリスクな対外資産に投資することで利益をあげてきました。つまり、国自体がヘッジファンドなのです。今回は新興国をリスクオフにしてマネーを集め、先進国の株で利益をあげようとしています。成長余力のある新興国のPERを先進国の株価のPERを上まわる逆転現象が生じています。また先進国の株式市場のなかでも成長余地のない巨大な成熟企業の株価(食品、ヘルスケア、小売、薬品などの内需ディフェンシブ銘柄)のPERがハイテク系、資源系、製造業の株価のPERを上回る逆転現象がおこっています。
このアメリカという国そのものをヘッジファンド化する戦略は成長が終わったはずのアメリカを一時的にしろ奇跡的に復活させました。
しかし、それはバブルの物語です。付加価値を生まない金融ヘッジファンド国家アメリカのポンジースキームはそろそろ正念場を迎えているようです。
JPモルガンなどアメリカの土地に寄生する保守アングロサクソン系はアメリカという国民国家がこれからも持続することが自らの利益になります。彼らは低い金利、債券高を望んでいるように思えます。
一方、GSなどロスチャイルド系は、あくまで目先の利益が重要です。利益至上主義で持続性や将来性などは二の次という発送です。かれらは流浪の民です。アメリカから吸えるだけ吸い尽くしたら、イナゴのように次のターゲットに移動するだけです。彼らは、国債より株高を望んでいるうようです。
米国債も米国株バブルも巨大なバブルです。量的緩和でその巨大な風船を膨らましてきましたが、そろそろその2つを同時に膨らますのは厳しくなってきたようです。どっちが勝つかまだわかりませんが、どっちが勝っても、長い目でみれば金を買っておけばまず大丈夫そうです。
バーナンキショックでドル高、新興国の通貨安が進めば、新興国のインフレ率が上昇します。
先進国の構造的デフレと新興国のインフレの二分化がますます進みます。
新興国のインフレ率上昇によって、新興国の金現物需要も更に増加します。
金の価格決定権は、西から東にシフトしつつあります。


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[ 2013/06/23 15:43 ] おすすめ | TB(0) | CM(2)
アメリカそのものがヘッジファンドという視点で見た方が、分かりやすいですね。
やはり農耕民族である日本人の常識ではなかなか彼らの戦略の本質を見る事は出来ないと思います。
今後の懸念は、日銀当座預金に積まれている資金の流れでしょうか?
先のバブルと金融自由化でかなり酷い目にあいましたから、邦銀は保守的であって欲しいものです。
年金資金・ゆうちょ資金は株式市場で燃料に使われています。

自民党の正体は……。
[ 2013/06/23 22:26 ] [ 編集 ]
今の日本は定年して老後を迎えている状態ですから、成長よりも今あるストックの資本を守る戦略が必要です。
アメリカの誘いにのって国民の財産を危険なマネーゲームに投じないでほしいですね。年寄りが詐欺投資にひっかかるようなもんです。
自民党内の左派は加藤の乱と小泉ブームにおける抵抗勢力扱いで駆逐されましたから、純粋な右派政党になりました。
今の欧州や南米など世界の政治の主流である社民主義をとる最大野党であった社会党はその指導者の力の無さにより風前の灯火です。また、民主党内の左派の小沢グループもクーデーターのようなかたちで民主党を追放されました。左派のリーダーであった鳩山や菅直人も失脚状態に追い込まれました。
日本の左派は政治闘争に敗れてボロボロですが、これもコントロールしやすい右派に政権をとらせるためのアメリカの陰謀かもしれませんね、
[ 2013/06/23 22:38 ] [ 編集 ]
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