FC2ブログ

BullionVault

QEによる格差拡大が失業率を改善するロジック


米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は8日、FRBの債券買い入れと超低水準の政策金利によって、過去1年間で雇用は220万人増え、ほぼ1年前に8%だった失業率は7.3%にまで低下しているとし、FRBの金融政策の効果を裏付けていると述べています。
たしかにネットの労働者数は増加しています。その一方で、労働参加率は過去1年間で1%ほど減少しています。米10月雇用統計では労働参加率は30年超以来の低水準になっています。
ロイターによると、バーナンキ議長は8日雇用統計発表後、国際通貨基金(IMF)主催の経済フォーラムで、「米労働市場には“極めて多くの緩み”が存在しているが、経済指標は実態を正しく反映していない可能性がある」「失業率は労働市場の緩み度合いをおそらく控えめに示している。就業率はそれをいく分誇張していると思う。参加率に重大な低下トレンドが見られるためだ」「余りに多くの若者が親元を離れることができない状況にあるなど、われわれは労働市場に極めて多くの緩みがあるとの見方に同意する。これは非常に重要で、だからこそFRBはとりわけ雇用創出を支援するため強力な行動を取っている」と述べています。
また、バーナンキ着議長は、労働参加率低下の大きな原因になっている若者の労働参加率低下については「職に就いていない人が多額の学生ローン債務を抱えているという点において、このことも回復の大きな足かせだ」と述べています。

労働参加率は、生産年齢人口(15歳から64歳)に占める労働人口の割合です、
アメリカの人口は約3.1億人ですが、生産年齢人口は約2.4億人です。その2.4億人のうちの1%は240万人です。
220万人雇用は増加していますが、労働人口は240万人減少しています。
実証研究によれば、労働参加率には、景気後退期に低下し、景気回復初期には上昇するという循環的なパターンがあるそうです。
確かに、不況のため就業を諦めたディスカレッジドワーカーが増加したことが労働参加率の低下の主因だとすれば、景気さえ回復すれば労働者の労働意欲が回復して労働参加率が改善するということになりそうです。
しかし、アメリカではリーマン・ショック後、労働参加率は一貫して低下し続けています。リーマンのあとも、景気循環で若干ですが景気回復が見られた時期もありましたが、労働参加率は低下する一方でした。

リーマン・ショック後、労働参加率が低下する一方であるのに対して、株価はQEによる恩恵を受けて棒上げが続いています。その恩恵のほぼすべてをごく一部の富裕層が独占しています。庶民へのトリクルダウンはほとんど観測されていません。
株の不労所得は、早期リタイアを可能にします。また、その富裕層の子供は親に寄生することができます。嫌なら無理して働く必要はありません。彼らは働かなくなり生産活動に寄与しなくなります。なんら付加価値は生まなくなり消費以外で経済成長に寄与することはなくなります。まさにアメリカ国家そのものです。
富裕層が働かなくなったことが労働参加率低下の原因だと思います。これは中長期的にはアメリカの経済力を更に弱めることになります。

一方、庶民は貧乏暇なしです。
自由の国、自己責任の国アメリカではセーフティネットが整備されていません。アメリカの失業保険制度では、失業手当の給付は原則としてわずか六ヶ月であり、先進国の中では給付水準が最も渋い部類にはいっています。フードスタンプの受給額も削られています。医療費は高く、働かないと病気になれば野垂れ死にです。自分だけでなく家族もそうです。
アメリカでは学費が高騰していることもあり、教育レベルが低下して、労働生産性が不可逆的な右肩下がりの低下をみせています。労働生産性の低下は、同じことをするのにより多くの人が必要ということになります。しかし、労働市場では、食べるために仕事を選べない失業者がたくさんいます。完全に買い手市場ですので、いくらでも安い賃金で好きなだけ雇用することができます。貧乏人は、賃金が低くても食うためには文句をいわずに働かざるを得ません。賃金が低いために複数のしごとを掛け持ちしないと生活を維持できません。
このように、低賃金の単純労働の雇用者数の増加が最近の雇用者数増加の正体だと思われます。実際、平均労働時間が減少していることから、フルタイムではなくパートタイムの仕事が増えているようです。また、平均賃金も減少傾向です。職種も小売やエンターティメントのような学生がアルバイトでやるような単純労働がメインです。このような仕事は定着率が低く不安定です。一時的に増加してもすぐ首になりやすい仕事です。

失業率は、失業者数÷労働人口です。
貧乏人は食うために仕事を選ばずにどんな仕事にでも就業しようと努力するので失業者数は減ります。その代表がアマゾンの仕分け作業などでしょう。
一方、金持ちは株のキャピタルゲインや配当といった不労所得があるので、無理して働く必要はありません。自分にふさわしい仕事しかしないとより好みができます。ボンボンなら大学院に進んだり、留学をしたりして、いつまでもモラトリアムを継続できるでしょう。また、中高年なら自分探しのために早期リタイアして田舎にでも移住してロハス気取りで森の生活ができます。そのため労働人口は減り続けます。
このように格差の拡大が分子と分母を減らし失業率を低下させています。
この失業率の低下は景気回復を意味しません。アメリカ経済を構造的に弱体化させ、再起不能に陥れるものです。


にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

社会・経済 ブログランキングへ
[ 2013/11/09 18:15 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

リンク
カウンター
相互RSS
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム
QRコード
QR


ロキソニン