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リーマン・ショックから立ち直れない米国


空爆決定後も支持率低下に苦しむオバマ政権ですが、迫った中間選挙に向けて経済回復をアピールしています。
アメリカは選挙のときは、株価が上がりやすく、指標が改善(粉飾)することが多いです。
9月まで長いことつづいたボラのないレンジ相場を突き抜けたのはこの影響もあると思います。もちろん、相場を牽引したのは、FRBとその配下の日銀、ECBのPKOです。実行部隊はゴールドマン・サックス(GS)などの投機銀行とその脱法機関であるヘッジファンドです。
オバマは自分が就任した後の米国の経済回復を強調しています。ダウは2.6倍上昇していますし、失業率は大幅に回復しました。失業率の低下は、欧州に比べてアメリカが景気がいいというアピールに使われています。
もっとも、欧州は雇用の質がアメリカに比べると相対的に高いので、簡単に数字だけで比較はできません。
また、米国国勢調査局によると、2013年の平均家計所得は、リーマン・ショックでリセッションに陥る前年の2007年の水準を8%ほど下回っているそうです。その水準は20年前の1994年程度まで低下しています。インフレ調整すれば1994年よりさらに購買力は低下しており、その分生活水準は低下していると思われます。
Poverty Report Contradicts GDP Claims — Paul Craig Roberts

家計所得だけでなく、米国のほとんどの経済指標はリーマン・ショック前の平均成長率を取り戻せていません。中間層の家計所得の改善なしでその他の指標の改善は望めないからです。政治が、資本家のロビー活動の圧力に打ち勝ち、最低賃金の導入、労働規制の強化、税制改革、社会保証改革といった格差是正をすることなしに、財政政策や金融政策していてもトリクルダウンなどは起こせないことはすでに実証されています(経済音痴の安倍首相は先日の民主党の質問にたいしてトンチンカンなことばかり言っていました)。
格差是正なしに、経済全体のパイを拡大し国全体の成長鈍化を食い止めることはできません。限界効用逓減の法則によって金持ちは消費性向が低いためです。利益は消費に向かわず、貯蓄されることになります。リーマン後、格差は更に拡大しています。金融政策によって資産価格だけが釣り上がり、資産家は潤い、米国の名目の平均貯蓄率は増加しています。そして実質の貯蓄率は、タックスヘイブンの普及によって実際はもっと高いはずです。金融緩和で得た利益や中間層や貧困層から搾取したマネーはオフショアのシャドー・バンキングに死蔵されています。
ワークシェアによってNFP、そしてサブプライムオートローン&リースで実質小売売上高の2つだけはリーマン前の平均レンジまで回復していますが、労働参加率、平均時給、雇用コスト、インフレ率(CPI&PCE)、実質GDP成長率、実質最終需要、実質個人消費支出、コア耐久財需給、鉱工業生産、新築住宅販売、住宅着工、などの指標のリーマン危機後の平均的成長率は、すべて、危機前の平均的な成長トレンドを下回っています
October Macro Update: Growth With Falling Inflation

平均への回帰の自律反発にしてはあまりに回復のスピードは緩やかで遅いです。潜在成長率の低下、構造的な経済成長率の低下、ニューノーマル、長期停滞論、イノベーションの死、バランスシート不況、国家債務がGDP比率が90%に達すればGDP伸び率が減速し始めるというのは、理論としてではなく事実として存在しています。一時的に落ち込んだ後、平均への回帰で回復した部分だけ切り取ってアメリカの景気は良いとしているとするメディアやエコノミストの確証バイアスには気をつけないといけません。

企業の利益は、海外へのアウトソージング、自社株買い、リストラ、賃金抑圧、設備投資抑制で増加傾向にあります。一方、利益の伸びや株価の急上昇ほど売上は増加していません。売上の半分は国内に依存していますから、国内の消費が低迷しているため、売上は加速していませんし、天井がみえつつあります。利益率改善にも限界がありますから、増収の頭打ちとともに増益も頭打ちになります。増益が頭打ちになれば株価上昇にもブレーキがかかります。それでもブレーキがかからなければ市場はバブルを警戒します。
また、国内の消費が低調なだけでなく、米企業の売上の半分は国外ですから、最近のドル高による為替損と、世界的な景気減速で、ダウを構成するようなグローバル企業の収益は悪化しているはずです。これから決算期なので悪い決算が続けば、出来高が細り流動性が低下しボラが大きくなってショックへの耐性がなくなりつつあるNY株式市場のバブルが危険になってきます。バブルが崩壊しそうになったときに颯爽と現れて助け船を出していたQE3による公開オペレーションの買い支えも今月で終わる可能性が大です。

最近、政府や中央銀行とグルであるはずのGSの予想に変化が見られます。オバマ政権に見切りをつけたのでしょうか?
昨年、ほとんどの投資銀行やメディア、エコノミストがドル高ユーロ安を予想して大損していたなかで、GSだけがユーロ高を予想していました。そのユーロ高が1.4ドルを目の前にして天井をうってトレンドがかわったものGSの予想がユーロ売り転換してからでした。もちろんGSらのユダヤ金融資本家がドル防衛のためにしかけたウクライナ危機と後の経済制裁による欧州経済減速、それを奇貨したドラギの利下げによるユーロ安ドル高は連動したシナリオだと思います。
日経平均が大幅に上昇したときもGSが日経平均の強い予想を出していました。
ところが、ここにきて、またGSの予想のニュアンスが微妙に変わってきました。内部の予想で整合性がないものがでてきています。
最近では、日経の短期の大幅調整を予想していました。
また、来年末までに長期金利4%、ドル高ユーロ安、株高など、アメリカ経済ブルの予想を牽引してきたGSですが、最近、政策金利の早期利上げはないとか言い始めています。このあたりで潮目が多少変わってきたかなという感じはします。レイ・ダリオを重い口を開いて早期利上げを牽制しています。ビル・グロスの移籍騒動も債券市場への再注目を集める宣伝になったと思います。
ひょっとすると、ここ数日のリバウンドはただのショートカバーではなくトレンド転換かもしれません。

中央銀行とのつながりによるインサイダー取引?で為替の予想にはめっぽう強いGSも西側中央銀行の敵である金価格の予想は苦手で、過去の予想の精度は低いようです。2012年に予想した2013年の平均金価格は1750ドルでしたが、2013年には金価格は大きく崩れました。また、2013年に予想した2014年度の平均価格予想は1050ドルしたが、今のところこの予想は大外れです。上がるとか下がるとか言っていれば運だけで半分はあたりますが、平均予想となるとまぐれは通用しません。
どっちにしろ、相場が大きく動かないと、投資銀行は儲かりません。そのためか、投機的な仕掛けでボラをつくり、それになんら後付けの理由を講釈して、停滞していたボラのない相場にむりやり流れをつくりだそうとしています。
もちろんこのようなボラが大きく不安定な金融市場は実体経済を害します。特に為替相場はそうです。通貨安は一部では為替差益で特をする企業や人もでてきますし、一時的な景気高揚感も生みます。しかし、通貨安は長期的スパンでみた場合、国全体でみた場合は、間違いなく経済を害し、国益を損ねます。日本企業全体の海外売上比率は2割~3割程度で、欧米に比べてかなり低いです。一部輸出企業の為替差益による増益や、国が持つ米国債などの純資産価値増加は一時的なものにすみませんし、実体経済への影響は限定的です。一方、国民(消費者)の大多数を占める中間層貧困層の公益条件悪化による購買力低下は、成長率低下にダイレクトにつながります。そしてその影響は一過性のものではなく、その後も続きます。
円安は総じてみた場合、経済にプラスという黒田総裁の公での発言は明らかに間違っています。追い詰められた売国奴のリフレ派や株屋のエコノミスト、ネトウヨが円安を支持するのは認知的不協和を解消するための自己保身というのはわかりますが、黒田総裁は頭の悪い人ではないですから、円安が長いスパンでみれば国益を損ねることはわかっているはずです。米国に依存する日本の景気からすると、アメリカのドルを買い支える必要があるのはわかりますが、もっと先見しなければいけません。彼は、高貴な嘘を言っている可能性が大です。


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[ 2014/10/07 18:32 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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