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原油戦争


最近、原油価格が大幅に下落しています。
原油価格が、あまりに価格が高騰すると代替エネルギーへの転換が加速するので、その価格には天井があります。金のように青天井になる潜在能力はありません。
とはいってもエネルギー効率からみて、自動車、船、飛行機などの交通運輸の分野ではまだまだ原油の優位性は変わりません。多少の短期的な景気循環の影響を受けても、中国とインドを中心とした新興国の原油需要はこれからも右肩上がりで上昇していくのは確実でしょう。
それでも、中国やインドなどは、都市の空気汚染の問題となっているので、電気自動車への転換が進み、価格の上昇にはすこしずつブレーキがかかっていきます。
化石燃料の本命はいまでもやはり石炭です。二酸化炭素で地球温暖化というのは、たいした問題ではなく、それを大げさに誇張しているのは、それをビジネスにしたい人がいるからです。
また、再生エネルギーの本命は風力でしょう。技術的に枯れていますし、コスト面、環境面などで相対的にマイナス点がすくないからです。原子力はコストの点でも環境の点でも技術の点でも選択肢としては一番合理性がない選択です。
石油の最大のライバルは原子力でもなければ、太陽電池でもなく、石炭と風力です。

代替エネルギーへのシフトが加速することを避けるために、産油国でもあまりに原油価格が急騰することは、自国経済の長期的・持続的・安定的な視点からみて歓迎しないと思います。どの産油国も、原油輸出で時間を稼いで、その間にそれ以外の産業を育成しようという方針で共通しています。

それにしても、最近の原油価格の下落は急すぎるものがあります。これは原油の需給の問題、投機、ドル高などの要因よりも、多分に政治的な要因が大きいと思います。
もともと、原油価格は非常に安いものでした。ユダヤ資本の欧米の国際石油資本(石油メジャー・セブンスター)が、発展途上国の原油を格安で買い叩いて、横流しにしてマージンを稼いでいました。
これに対して、産油国が資源ナショナリズムにより、自分たちで原油価格を決めようとして団結したのがOPECでした。OPECが共同して生産を調整して供給をしぼることによって価格下落を抑えることが可能になりました。OPEC設置に先進国にとってサプライズで、これによりオイルショックがおこります。
アメリカがOPECの原油価格コントロールに対抗するために、つくったのがIEA(国際エネルギー機関)や原油の先物市場でした。ニクソン・ショックでドルと金の兌換を停止した後に、ドル価格防衛のため、金価格を下げるために先物市場をつくったのと同じです。
IEAは中国などの原油の需要を低く見積もり、アメリカのシェールを過大評価するといったアナウンスメント効果で価格を抑えようとしています。
もっとも、先物市場だけではいずれ反対売買をしないといけません。無理に価格を下げてもサヤ取りにやられてしまう危険があります。先物は、短期的に価格を大きく下落させることを得意としていますが、長期的に価格を抑えこむことはできません。
そこで、アメリカはOPECの盟主であるサウジアラビアを取り込みました。
サウジアラビアはサウド家が支配するアラブ国です。独裁国家で、イスラーム国と同じような公開処刑を毎週やっているような国です。残虐性と非民主性ではイスラーム国と大差のない国です。
サウジは、国土は広いのですが、人口がすくない国です。国土が広い分、油田に恵まれていますが、人口がすくないだけに隣国の人口の多い国(エジプト、イラク、シリア、イラン)からは地上侵攻される危険があります。
アメリカはこのサウドを隣国から守ってやるかわりに、サウジアラビアに原油を増産させて原油価格を引き下げることを可能にしています。
これにより、サウド家の少数の支配者がサウジアラビアにある原油の利権を独占しています。そして、その巨額の利益を国民にわずかばかりの飴として還元すること独裁への不満を抑えこむことに成功しています。その他の湾岸諸国も似たような構造です。
同じアラブ人でありながら、欧米が決めた国境線のどちらかで生まれるかの運だけで、アラブの人の一生は大きく変わってきます。国境線が貧富の差をわけました。これがひとつの大きなアラブであれば、点在する油田の利益を全体に再配分することで格差のない平和な中東が形成できたはずです。宗派争いとか民族争いとは表面的な問題で、本質は格差の問題です。中東を不安定するにすること、漁夫の利を得ているのがユダヤ資本家や欧米のプロテスタントなどの白人です。
サウジはアメリカの増産の要請で、油田の寿命を縮めてきました。しかし、シェールなどに比べて、産油コストは非常に安いものですから、多少価格が下がってもコスト割れするような問題はありません。原油にたよった財政は厳しくなりますが、他国に比べると余裕があります。
サウド家はイランとロシアを敵視しています。そのイランとロシアを弱体化させて、サウド家の独裁を維持するためなら、多少自国の経済が弱くなって、国民の生活水準が下がっても問題ないとしているようです。
また、最近ではイスラーム国が自国にとって脅威になりつつあります。最初、サウド家はISを対シリアの目的で支援してきましたが、自分たちの立場を危うくする存在まで力をつけてしまったのです。これはフセインやタリバン、アルカイダを当初支援していたアメリカと同じです。
そのため、サウジはアメリカの軍事力を頼る必要がでてきました。サウド家は対ロシア、対イラン、対イスラーム国ということでアメリカとは共通の利害があります。対シリアのアサドの時はサウジの要請にもかかわらず、アメリカは財政難のために空爆を拒否しましたが、対イスラーム国の今回に関しては、アメリカは参戦に応じました。サウジはアメリカの参戦を条件に原油価格引下げに応じたのだと思います。サウジは減産はしていますが、そのペースは抑制されてしぶしぶです。
先物の売りと、サウジの減産阻止によって原油価格は大幅に下落しました。反米国家であるロシア、イラン、ベネズエラは大きな打撃を受けています。アメリカの支配者であるユダヤ資本家にとっては、優先順位が高いのは、シリアやイラクのイスラーム国ではなく、ウクライナの対ロシア、対プーチンです。彼らはイスラーム国の問題はイラクの油田さえ守ればいいので二の次です。対ロシアへの経済制裁で一番ロシアに打撃を与えることができるのが原油価格の下落です。今回の原油価格下落の最大の要因は対ロシアへの経済制裁だと思います。
もっとも、アメリカ自身も、国内のシェール企業は、原油価格が80ドルをきれば、3分の1から2分の1は採算がとれなくなるといいます。コストの安い優良な油田はすぐ枯渇するので、後2~3年もすれば80ドルで採算がとれる油田はほとんどなくなると思います。
もちろん、アメリカ政府もそれがわかっています。シェールは単なる時間稼ぎと、金融バブルの道具にすぎません。
シェール企業が苦しんでも投資した連中がババをひくだけです。それより、原油価格低下による、消費者への実質減税効果のほうが経済全体でみればはるかに重要です。原油価格が下がってガソリン代が減れば、裁量支出の余地が増えます。
アメリカは、賃金が上昇していないので個人消費が低調です。ローンも過剰になってきたので、小売も低調になってきました。原油価格下落によってなんとか個人消費を支えたいという意図があると思います。ロシアへの経済制裁とならんで、これも原油価格下落の大きな要因だと思います。
アメリカとしては、とりあえず、年末のクリスマス商戦いっぱいまでは原油価格を抑えこんでおきたいところでしょう。11月の末にはOPECがあります。そこでサウジは他の加盟国から猛烈な批判を受けると思います。そこだけを乗り越えれば、また来年原油価格は上昇を再開すると思います。


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[ 2014/10/24 13:09 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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