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経済政策、日本とアメリカの失敗、中国の成功


アメリカや日本のマクロ経済政策は失敗し、中国のそれは成功しているのが明らかになってきています。
アメリカは金融危機後に、思い切った金融政策と財政政策を実行しましたが、メインは金融政策です。
確かに、これによって目先のクラッシュの影響を緩和できたという一定の評価はできると思います。シュンペーターのいう創造的破壊による痛みを避けて、フィッシャーのいう「デット・デフレーション」理論を採用したといえます
しかし、それは借金をさらに拡大させる政策ですから、長期的・安定的・持続的経済成を阻害するという副作用があります。
米国はいままで、バブルが破裂した後のリセッションを更なるバブルで覆い隠すこということを、再三、続けてきているのでそろそろそれが限界にきています。そのため、今現在進行中のバブルはラストバブルと評価されています。
アメリカは当面の経済クラッシュ(恐慌)は回避しましたが、ほとんどのマクロ指標の平均的な成長スピードは、金融危機以前の平均水準まで回復していません。指標の参照点を、金融危機で大きく落ち込んだ時点とすれば、現在は堅調に景気が回復しているように見えますが(マネックスなどが金融危機後のチャートを切り取ってきてよくやっています)、過去のバブル崩壊&リセッション後の回復のスピードと相対比較すれば、その回復の速度は相当落ちて、自律反発の力が失われています。
これはやはり、潜在成長率の低下、長期停滞が大きいと思います。
潜在成長率の低下は、成熟経済による資本利潤率の低下、新興国のキャッチアップ、人口動態など、いろいろな要因がありますが、金融危機後の間違った金融政策で格差が拡大し、多数派である中間層の多くが貧困層に転落していることが大きいと思います。
金融危機後の、ゼロ金利政策やQEなどの金融緩和政策によって、資産バブルが発生して金持ちはますます金持ちになりました。世代間格差も拡大しました。資産を持つ年寄りはますます豊かになりました。その一方で、若者はなんとか金融危機後の競争社会を生き残ろうと大学に行き、多額の学生ローンをかかえています。大学を卒業したものの仕事はなく賃金も上昇しません。NFPで増加しているのはほとんど年寄りの雇用です。若者は結婚できず、家も買えません。世帯数が増えず出生率が低下しています。
所得格差や世代間格差だけでなく、地域間格差も拡大しています。都市部は成長していますが、地方は廃れ、多くの地方自治体は破産の危機に瀕しています。
格差は企業間でも生じています。
ダウやS&P500は、米国企業の優良企業で構成されています。米国代表のベストメンバーです。成長がとまった企業は、足を引っ張るので構成銘柄から外されます(そろそろダウで構成比の大きいIBMが危ない?)。ダウはこのスクラップ&ビルドによって、長年、右肩上がりの上昇を続けてきました。これは長期投資すれば株は必ず上がるという幻想を生みました。
ダウなどの企業は、成長する新興国向けのグローバル企業も多く、そのほとんどが知的所有権などのレントシーキング企業ですから、増収増益を維持できているところが多いです。しかし、かといって米国企業全体が大きく成長しているわけではありません。大企業は、QEによって株価が上昇しているので、ゼロ金利で資金調達して、それを使って自社株を買い、さらに自社株を釣り上げています。その自社株と自社より小さい中小企業の株を交換するという三角合併で他社の買収に奔走しています。M&Aゲームで、他社を吸収することで売上と利益を伸ばしているわけです。本業よりそのほうが簡単に儲かります。
自社の既存の事業が特別、成長しているわけではありません。合併は、単に既存の企業の事業同士を足しているだけで新しい事業を生み出しているわけはないですから、ある大企業が増収増益でも、米国企業全体の成長率は、単純計算すればプラスマイナスゼロといえます。アメリカではそのイメージとは異なり、年々、中小企業の起業は減少傾向にあります。
もっとも、企業合併による相乗効果期待や、買収される企業のCEOたちよりも俺たちのほうが上手くやれるというのは、だいたいが自信過剰の認知バイアスで統計的には失敗に終わることが多いようです。結局、M&Aによる大企業の増収増益は経済全体の成長率をむしろマイナスにしている可能性すらあります。
アメリカの経済政策の恩恵は上位3%に集中しています。
国の経済成長を決めるのは個人消費です。大多数の中間層の賃金はほとんど伸びず、消費性向の低い富裕層に恩恵が集中しているのでアメリカの経済成長は鈍化したままです。
個人消費が増えないと、設備投資が増えず、雇用も改善しません。
今の設備稼働率では設備投資は加速しませんし、オバマケアによるワークシェアで質を犠牲にして下げてきた失業率も今の数字ではまだまだ賃金の上昇は加速しません。
格差是正なしに成長なしです。格差是正こそもっと重要なマクロ経済政策なのですが、アメリカはそれをないがしろにしてきたのです。これはアメリカの文化に構造的に根付いているもので今後も修正することは困難だと思います。これがアメリカの失敗です。FRBも最近では、ようやくこのこと重視する姿勢を示していますが、格差を拡大させてきた元凶はFRBですから説得力がありません。

これに対して中国は格差が縮小しています。
そもそも中国は毛沢東の独裁による共産主義国家でした。資本家である金持ちは敵視されて、横並び主義が徹底されました。
しかし、鄧小平が社会主義市場経済国家に中国を転換しました。
「先に豊かになれる人が豊かになり、豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける」という鄧小平理論(先豊論)で、一時的な格差拡大を是認したのです。
一般的にみれば、先進国より新興国、新興国よりも発展途上国のほうが、格差が大きいものです。もっとも、先進国の中でも、アメリカや日本は、突出して貧困率が高い国です。日本もアメリカも、メディアのコントロールによる右傾化で民主主義がマヒし、富の再分配が機能していません。
日本はバブル崩壊後、金融国家としてバブルによる経済成長の延命をしようとしたアメリカに都合のいいように使われてきました。ユダヤ資本家はバブル崩壊になって安価になった日本の大企業の株を買い占めて大株主になっています。民放のスポンサーである大企業は大株主の圧力をうけて、メディアをコントロールしていきます。そうして反米・親中露的な政治家はメディアで徹底的に叩かれます。めだつ杭として広く認知されることとなったその政治家は検察のかっこうの手柄争いの標的にされます。そうして田中角栄や小沢や鳩山が失脚していきました。
メディアは本来、表現の自由に基づいて自由に報道することで、国民に情報を与え、それによって権力を監視することが期待されています。それが選挙制民主主義の大前提です。正しい情報がなければ正しい判断はできないからです。これが立憲民主主義の大原則ですが、反政権的で批判的スタンスのリベラルメディアは、資本家のプロパガンダ機関である読売、産経、新潮、文春などの右翼メディアのバッシングを受けて弱体化させられています。これにより民主政の機能がマヒして権力側の大衆のコントロールが容易になっています。読売や産経はワイドショーや夕方のニュースで主婦や年寄りを洗脳し、週刊誌は中吊り広告でサラリーマンを洗脳していきます。メディアの韓国中国叩きは庶民のルサンチマンを満足させて、その怒りが、権力者や富裕層へ向かうのをかわす効果があります。韓国を叩けば週刊誌は売れてブログのアクセス数も増加します。日本と中国を対立させることで漁夫の利を得ているのはアメリカです。
世襲民主主義と縁故資本主義を是とする自民党政権の構造改革という名の下の富裕層優遇の規制緩和や金融緩和政策で格差拡大が加速しています。数十年前は、実質社会主義国家といわれた日本ですが、いまでは一億総中流意識というのはたんなる認知バイアスにすぎません。

中国も新興国で発展途上にあるために格差が大きい国です。
成長して経済が成熟し先進国になれば格差が縮まっていくというのが一般的な傾向ですが、個別にみれば、北欧やドイツなどの中欧、ベネルクス三国のように格差が縮小する国や、米英韓日のように逆に格差が拡大する国もあります。
中国は前者だったようです。
ユダヤ資本が支配するメディア、アメリカの利益を守る国際機関(IMFなど)や格付け企業は、中国のGDP成長率が7.3%と前期比の7.5%を0.2程度下回っただけで中国経済崩壊と煽ります。逆に、アメリカが景気の短期循環で少しリバウンドしただけで強いアメリカ経済と拍手喝采します。前年同期比や前期比からみれば、参照点のハードルがひくいアメリカが回復してみえるだけです。
中国の経済規模は相当巨大化しているので、成長率が下がっていくのは当然です。いままでとはそのベースになる経済規模が違うのに成長率が同じだとするととんでもない成長スピードになって早すぎです。率だけでなく上昇幅をみるべきでしょう。
中国の経済成長は、内容も悪く無いです。輸出入の成長率は回復して、国内への直接投資も増加しています。
中国は、投資、輸出、製造業の経済モデルから、消費、内需、サービス業へ産業構造を変換しようとしています。
それが、今のところはうまくいっているようです。
年年初から第3四半期までのデータによると、第1次産業(農業等)の付加価値額は、前年同期比4.2%増、第2次産業(工業)の付加価値額は同7.4%増、第3次産業(サービス業)の付加価値額は同比7.9%増でした。第3次産業の付加価値額が国内総生産に占める割合は46.7%で、昨年同期より1.2ポイント拡大し、第2次産業を2.5ポイント上回っています。
第3次産業の比率が高まり、経済全体がミドル・ハイレベルに進むという産業構造更新の法則によれば、サービス業の比率の拡大は長期的に続く発展傾向です。先進国のサービス業の比率は70%以上ですが、中国は40%余りにすぎないのでまだまだのびしろがあります。
都市化も半分完了しただけです。そのため、まだ固定資産投資の需要はあります。都市化がすすめばサービス業の比率はさらに高まります。
また、今年年初から第3四半期まで、全国の農村住民の一人当たりの現金収入は、名目成長率は前年同期比11.8%、実質成長率は9.7%です。全国の都市住民の名目成長率は同比9.3%、実質成長率は6.9%です。都会よりも地方の貧民層のほうが、所得の成長率が高く、格差が縮小しています。
さらに、年初から第3四半期までの全国の住民一人当たりの可処分所得の名目成長率は10.5%、実質成長率は8.2%で、今年の同期のGDP成長率や、企業利益の成長率も上回っています。
このように中国では、アメリカと違い、地域格差、所得格差が縮小されています。経済政策の恩恵も企業(資本家)よりも労働者がより多く受けています
格差縮小による中間層の拡大が、中国の個人消費を支えています。消費市場の拡大が持続的、安定的、長期的な成長を可能にしています。キリギリスのように刹那の利益を求めたアメリカの失敗とは対照的です。
日本も、政権与党の支持率維持のため、全体ではなく一部の人だけが恩恵を受ける株価上昇に必死になっています。そのため、安定運用が求められる国民の年金を投入し、国民の資産を目減りさせる通貨切り下げをおこなっています。
株価上昇によって短期の景気循環のベクトルを無理やり上向きにしようとすれば、市場の価格調整機能が損なわれ、必ず副作用があります。そのためだけに、消費増税を見送るようなことをしていては、長期的、安定的、持続的な経済を達成することはできないでしょう。
中国は投資から消費に経済構造の変換がスムーズに進んでいますが、そのため固定資本投資の設備が過剰になっています。保存が効くのということもあり、市場価格が下落しているタイミングで在庫を積みましてきた鉄や銅やコンクリートもダブついています。
これをASEANなどの発展途上国のインフラ整備に有効利用するために、中国は、アジアインフラ銀行を設立しました。
このアジア・インフラ銀行の設立は、アメリカ(ユダヤ資本家)の利権とドルを守るためのブレトンウッズ体制の機関(IMF、世界銀行、アジア開発銀行)と真っ向からぶつかることになります。当然にアメリカの従属国である日本は参加しませんでした。日本もかつてアジア危機のときに同じようなアジア通貨基金(AMF)を構想しましたが、アメリカに握りつぶされました。
今回もアメリカの圧力により韓国、インドネシア、豪州、サウジは参加を見合わせたようです。
もっとも韓国や豪州やサウジなどは、インフラがほぼ整備されているのであまり意味がありません。重要なのはアメリカの工作活動により、領土問題で中国と対立しているフィリピンやベトナムが参加したことです。これらの国はまだまだインフラ建設の需要があります。ブレトンウッズ体制下のアジア開発銀行(伝統的に日本が総裁を務める)では、アジア域内で必要なインフラ資金をとても融資できません。
中国の脅威を煽り、中国から守ってやるかわりにおれに付けというアメリカの対フィリピンや対ベトナムの外交方針は日本や韓国や台湾に対する方針と同じですが、今後は、両国とも経済面で中国の関係を深めて米国から距離を置くようになっていくと思われます。

人類の歴史に残る名曲
Boys Town Gang - Can't take my eyes off you.


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[ 2014/10/26 17:38 ] おすすめ | TB(0) | CM(2)
切なる問いかけです。
世界の経済、及び秩序は、今後どのように進展していくと思われますか?
次回の投稿で、この点についてPeterさんの洞察をお伺いしたいです。
[ 2014/10/26 18:52 ] [ 編集 ]
Re: 切なる問いかけです。
> 世界の経済、及び秩序は、今後どのように進展していくと思われますか?
> 次回の投稿で、この点についてPeterさんの洞察をお伺いしたいです。
コメントありがとうございます。
世界経済の進展についてどうなるかは私もさっぱり予想できませんし、自信はありませんが、個人的な意見を述べていきたいと思います。
[ 2014/11/20 16:45 ] [ 編集 ]
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