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追い込まれてきた米国


アメリカの、9月の貿易収支は市場予想に反して赤字幅を拡大させました。
輸出減少が原因です。
中国向けの輸出は増加していますが、欧州向けで大きく減少しています。
そのなかでも日本向けの輸出の落ち込みが特に大きいです。
これによって第三四半期GDP成長率の速報値が下方修正される可能性がでてきました。
速報値のGDP成長率は3.5%でしたが、そのうち、純輸出の寄与分が大きく、1.2%程度、GDPを押し上げています。
速報値に用いられた貿易赤字額は推定額であり、実際の貿易赤字はその推定額を大きく上まっています。それによって、最大で0.3%程度下方修正される可能性ができました。
また、先日発表された9月の米建設支出は、市場予想の0.7%増を大きく下回り、前月比0.4%減少し、2カ月連続のマイナスでした。
これによる速報値の下方修正の可能性もあります。
そもそも米国の経済指標統計はよく批判される中国よりでたらめです。
過去GDPの速報値は、その後、大きく変更されることが通例になっています。
GDPの速報値は市場へのインパクトや政治目的でいくらでも適当な数字がでてきます。
今回も、中間選挙前でしたから強めの数字をだして、あとで大きく下方修正する可能性があります。
中間選挙は予想どおり共和党が勝利しました。貧困層はあいかわらずメディアコントロールを受けて共和党に投票して自分のクビをしめています。
もっともアメリカに真の意味での左派政党はありません。ヒラリーをみればわかるように民主党もリベラルとは今ではいえないと思います。リベラルの皮をかぶった資本家の犬というレッテルは、クルーグマンだけでなく、彼が熱烈に支持する民主党にも当てはまります。
これで事実上、オバマがめざした最低賃金引き上げは不可能になりました。
労働分配率を上げる必要がなくなったので株価にはプラスで資本家はうはうはでしょう。しかし、巨視的にみれば、格差は拡大して消費はますます落ち込むので、米国経済の衰退はますます加速することになります。

ゴールドマンは第三四半期のGDP成長率改定値予想を3.5%から3%に引きさげています(第四四半期予想は2.2%から2.4%に上昇修正)。
通年で金融危機後の平均成長率2%を下回る可能性がでてきました。2%は現在の世界の平均成長率でもあります。
メディアの論調では、アメリカの景気は今年になって成長が加速して、世界で一人勝ちのような印象をうけますが、実際は、景気回復の自律反発の勢いが弱まっているようです。また、世界のなかでも相対的に勝ち組というわけでもないようです。
PIMCOをはなれたビル・グロスはフリーダムです。
グリーンスパンやバーナンキがFRB議長を辞めてからぶっちゃけているように、また、FRB議長になれなかったサマーズがアメリカに対して弱気な発言をするようになったのと同じように、今では米国経済に対して歯に衣着せない発言をするようになっています。
ビル・グロスは、残高100兆ドルまで膨れ上がった米国の政府債務・シャドウバンキングの債務の利払いのために、米国の経済成長は、4%の名目成長率が必要だとしています。
名目成長率は、実質GDP成長率+インフレ率ですから、アメリカの金融危機後の、実質GDP成長率が平均して2%程度であることからすると、インフレ率は2%必要ということになります。これはFRBのインフレターゲットの数字と合致します。
しかし、今現在、インフレ率は2%なく、さらに下落基調にあります。米ドルが10%上昇するとインフレ率は0.5%下落するそうです。さらに実質GDP成長率のほうも2%を切ろうとしています。
このような状況で、財政を持続させるためには金利を下げるしかありません。
市場では来年の米国の利上げが当然というコンセンサスになっていますが、このままインフレ率が下がり続け、成長率が鈍化するとそれも厳しいと思われます。
ドル高と原油安によってドル建ての金価格は大きく下落しています。一方、円建ての金価格は円安でドル建て価格の下落がある程度相殺されています。ユーロ建ての金価格は逆に年初来高値を更新しています。
円安は底がみえませんが、金は産金コストがありますのでドル建ての金価格の下落スピードもそのうち鈍化してくると思います。そうなると円建ての金価格もじきに上昇に転じると思います。
売り煽る投機筋は産金コストなんてたいした問題でないと強弁することが多いようですが、それはあり得ません。原油と異なり、産金コストギリギリで現物需給がタイト(中国2000トン+インド1000トン)な金の価格は需給法則に逆らうことはできないと思います。
産金コストに大きな影響がある原油安に関しては、底値では中国が戦略備蓄で仕込んでくるので、下げのスピードは鈍化してくると思います。
中国は原油の半分以上を海外からの輸入に依存しています。そしてその9割が海上輸送です。
米国海軍に海上封鎖されれば、あっという間に干上がってしまいます。
ロシアからのパイプライン完成まではまだ少し時間がかかります。それまでの間に戦略備蓄を大幅に増加させることで対応するようです。
金や原油の価格下落はそれを戦略物資として備蓄を増やしている段階の中国にとってはありがたいところです。米国が、先物で原油や金価格を抑えこむことは、米国にとって目先の利益になりますが、長期的にみれば、中国を利することになり逆にアメリカにとってマイナスになるでしょう。


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[ 2014/11/05 19:30 ] 経済指標 | TB(0) | CM(0)
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