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原油価格リバウンド


経済が成熟した欧米先進国の成長が鈍化して、原油の需要が減少する一方、中国やインドといった新興国では原油の消費量が増加傾向にあります。
石油の最大の特徴は、エネルギー効率の高さです。
少量で大きな力を生むので、自動車や飛行機など、輸送機械の燃料に最適です。
都市近郊内での限定的な輸送なら電気自動車などでもいいのですが、郊外で遠距離の輸送には航続距離の点でガソリンエンジン車に分があります。補給施設を安価に設置できるので、ガソリンスタンドが普及しており、どこでも短時間で補給できる利便性もあります。
中国やインドやロシアは国土が広いので、アメリカ同様、ガソリンエンジン自動車の需要が高いといえます。
もっとも、国民一人あたりのガソリン消費量でみると、インドや中国はまだまだ湯水のようにガソリンを浪費するアメリカに比べて少ないものです。
以下の図は、1人当たりのガソリン消費量(縦軸)と、ガソリン平均価格(横軸)を、128ヵ国について比較したものです。それぞれの円の大きさは、その国の人口を表しています。
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Prices Around the World for Gasoline

中国とインドの人口は合わせて26億人超で、世界人口の4割程度を占めています。
中国とインドは経済成長により、今後数年で、多くの中間層が誕生することが確実視されています。貧困層が中間層に階層移動して、その生活水準が向上するにつれて原油の消費量も増加します。
アメリカや日本のモータリゼーションのように、中国やインドの中間層が自家用車を保有しようとすれば原油需要は右肩上がりに上昇を続けていきます。
このところ、原油価格が低下させるために、欧米資本傘下のマスメディアは原油の供給過剰を印象付けようとする報道を繰り返していますが、中国やインドの原油需要は旺盛です
11月のインドの原油処理量は、2か月連続の増加の日量1921万トンで、前年比8.1%増で過去最高でした。
11月の中国の原油処理量は日量4225万トンで、前年比5.5%増でした。
原油安で恩恵を受ける中国やインドの景気が上向けば、原油の需要が増加して、需給は逼迫することになります。
そうなると原油価格は再び上昇を開始します。

今年に入り、中国の貿易黒字が過去最高を更新し続けているのにもかかわらず、中国の外貨準備が減少していることから、中国が何を買っているのかが話題になっています。
Just What Is China Buying?

中国の米国債買いは減少傾向にありますが、ベルギー経由で購入している可能性が以前から指摘されています。
また、現物金、米国や日本の優良不動産、アフリカの資源などを買い漁っていることは有名です。
個人的には、ここにきて中国は原油関連の買いを増加させていると推測します。
中国はロシアなどと組んで、積極的な外交の囲い込みを進めています。将来アメリカのラストバブル崩壊による恐慌が予想されるため、その備えとしてブロック経済を構築しているのだと思います。
中国が主導する上海協力機構、シルクロード経済圏構想、ロシアが主導するユーラシア経済連合などがそうです。
アジアインフラ投資銀行を利用した中国版マーシャルプランにより、フィリピンやインドネシアなど米国陣営側の国をもとりこもうとしています。反米国家のニカラグアに資金を提供することでパナマ運河を上回る規模の運河を建設し、アメリカが管理するパナマ運河を迂回したルートを確保しようとしています。パナマ運河は狭いため、通過できる船の全幅は32.3メートルまで限定されていますが、全幅60メートル、排水量40万トンの大型船舶の通過が可能となるようです。(第二次大戦時、日本の大和級に比べて、米国のアイオワ級などの戦艦が細長く、総トン数に制限があったのはこのため)。
ロシアもここにきて、親米国家化していたグルジアを取り戻しました。また、北朝鮮に急接近して、ユーラシア連合側に組み込もうとしています。日本での報道の印象に反して、北朝鮮のここ最近の経済成長は著しいものがあります。
これに対して外交に遅れをとっていたアメリカですが、ここに来て、敵対国であったイランやキューバに接近しています。南米の反米国家にも融和姿勢を見せて南北アメリカ大陸圏のブロック経済でユーラシア経済ブロックに対抗しようとしています。
また、ソニー・ピクチャーズなどへのサイバー攻撃を口実に、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを検討しています。
さらに、台湾にフリゲート艦の売却を決定しています。オバマ政権による台湾への供与は初です。中国はこれに猛反発しています。
アメリカも、キューバ危機の際、猛烈な反発をしました。このときは、あと少しで世界が核戦争に終わる寸前だったといいます。アメリカがここまで過剰反応したのは、キューバがアメリカの目と鼻の先にある庭のような地理的位置にあるからです。ここにミサイル基地を作られることは、アメリカの安全保障の死活問題にかかわります。
同じことが、ロシアにとってのウクライナのNATO加盟およびポーランドへのミサイル配置、中国にとっての台湾への武器援助にいえます。ソ連がアメリカが冷戦を終結させる際、ウクライナをNATOに加入させないことを条件にあげたといわれています。
アメリカ陸軍は伝統的に弱いため、国土が広く人口の多い中国やロシアはアメリカから地上軍の侵攻を受ける可能性はありません。
しかし、この2つの国は、国土は広いのですが、中国は海岸線が短く、ロシアは不凍港があまりありません。
この2つの国が恐れるのは米海軍による海上封鎖です。

ロシアがシリアにこだわるのは海上へのルートを確保するためですし、中国が尖閣や南沙諸島にこだわるのは、アメリカによる海上封鎖(日本でいう本土~沖縄~尖閣~台湾~フィリピンのラインをつなげた第一列島線の封鎖)からシーレーンを確保するためです。
特に、中国は、原油の半分を海外からの輸入に頼っていますし、膨大な人口がいるので、経済制裁+海上封鎖されるとあっという間に干上がってしまいます。
そのために、原油の戦略備蓄を増やしています。
中国は、金と原油を戦略物資とみなしています。
今の価格の安いところを好機とみて、価格を釣り上げないように注意しながら、コツコツ仕込んでいるはずです。
鄧小平の有名な「韜光養晦」戦略、すなわち、能ある鷹は爪を隠し、十分な力を蓄えるまでは目立たない姿勢に徹していると推測します。

今朝の朝日新聞の一面に、中国の「21世紀の海上シルクロード」構想が紹介されていました。アジアと欧州を結ぶ北極海航路です。
この航路は、インド洋、スエズ経由よりも距離が短縮できます。また、マラッカ海峡やスエズ運河などを経由しないので、地政学リスクや海賊のリスクが軽減されます。
なにより、第一列島線を回避して、ロシア領海内を長く通過するので、米国によって海上封鎖される危険性が低下します。
砕氷船の数などで、米国は北極航路に関しては、ロシアや中国に大きく遅れをとっているそうです。
中国は、デンマークの自治領であるグリーンランドに巨額の投資をしているようです。本国のデンマークへも投資をして、独立志向の強いグリーンランドをまるごと買い占める勢いのようです。
北極海には膨大な埋蔵量を誇るロシアの海底油田もあります。

増え続ける中国とインドの中間層の原油消費がこれからも間違いなく増加することと、中国の戦略備蓄需要の増加で、原油の需給はこれから逼迫していくと思います。
シェールオイルが世界の原油生産量で占める割合は微々たるもので、その増産程度では、新興国の需要増加を補えません。そのシェールも油井の寿命が短く、原油生産も今がピークでこれから急激に生産量が落ち込むことが予想されます。

現物市場では今もリビアの供給障害などで需給が逼迫しています。
ソロスが提案したロシア制裁のための原油市場へのショートアタックは、結局、米国のジャンク債市場と株式市場にダメージを与えることになって、天に唾する結果となってしまっています。ここからの先物の無理な攻撃は墓穴を掘ることになりかねません。
米商品先物取引委員会によると、投機家によるWTI原油先物の買越残高 は16日終了週に14%増加。買いポジションは2月以降で最大の増加しています。
目先でもそろそろ原油価格は反発してくると思われます。


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[ 2014/12/22 16:46 ] 市況 | TB(0) | CM(0)
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