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最大のリスク、流動性があるとの幻想


今月始め、2月3日、日本の長期債の入札が不調で金利が上昇し始めました。
ECBの量的緩和によってユーロキャリートレードが活性化して、円の調達コストが上昇していることなどが原因のようです。
その後に、雇用統計がありました。
米国では、2013年12月に議会が失業保険受給期間の延長を拒否しました。これに伴い複数の州で失業手当の受給期間を73週から26週に短縮し、ほぼ総ての州で失業手当が縮小されました。
なお、右翼系エコノミストや政治家(保守&リバタリアン)が主張するように、失業手当や生活保護といったセーフティネットが、怠け者をつくるわけではありません。
米仏比較すると失業保険が怠け者を作らない事が分かる
リバタリアンは個人の能力や努力を過大評価して、社会や運の寄与度をあまりに過少評価する嫌いがあります。タレブの「まぐれ」を読めばそのあたりの誤謬は詳しいです。
まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
安倍首相がいう、頑張ったものが報われる社会をというのは、正論ですが、間違った意味で使われていると思います。安倍総理がいうのは、頑張った金持ちが報われるという意味でしょうが、本来は、機会均等によって貧困層が上を目指すこととができるというのが正しい意味です。この2つは相反します。アベノミクスにより、世襲資本主義が加速して階層の固定化が進行しています。金持ち父さん(ロバート・キヨサキ)がいうように、汗水ながして働いて人生の時間を切り売りするよりも、資本が利潤を生むほうが利益になるというのが資本主義です。ピケティはその当たり前のことを実証したにすぎません。
世襲の保守層や成功することで新たに保守の仲間入りした成金リバタリアンは既得権益を守ろうとしますが、これはジョン・ロールズのいう無知のベールに反しています。再配分をしないことには機会均等は実現できません。
また、2014年1月1日には、オバマケアが導入されました。
オバマケアは、週30時間以上の働いているフルタイム従業員を雇っている企業は、従業員の健康保険料の一部を負担することを義務づけました。
オバマケアにより生じる医療保険負担を避けようと、米企業は、フルタイム従業員を減らしてパートタイム雇用を増やしました。ワークシェアリングです。
労働者は労働条件が悪くなりますが、失業保険の需給期間が終ったので、仕事を選んでいては食っていくことができません。そのため、やむを得ずパートタイムの仕事をせざるを得なくなります。労働市場は完全に売り手市場です。
労働者は生活のために複数のパートタイムの仕事を掛け持ちせざるを得なくなります。これで米国の2014年の雇用統計の数字は表面上、劇的に改善されました。この見かけの雇用改善は個人消費増など実体経済の改善にはつながりませんでしたが、FRBとウォール街が雇用統計をことさらに重視したため、株式市場など金融経済は恩恵を受けました。
米国では上位3%、日本では上位10%程度の富裕層が甘い汁を吸いました。トリクルダウン効果はほとんどありませんでした。格差は階層間だけでなく、同じ富裕層、貧困層のなかでもフラクタル状に拡大しています。
2月3日の円債の金利上昇で債券市場が不安定になったところで、2月6日の雇用統計が良かったことで、米国の利上げ前倒し観測が高まりました。
そのため、米国債の金利も上昇を開始しました。
米国債は安全資産といわれていますが、それは米国の国力の担保があるためではありません。米国はありとあらゆる点で国力が低下しています。
米国債が安全とされるのは、その市場規模から流動性が高く、価格変動リスクが低いことがその理由です。
しかし、その流動性が低下しています。
量的緩和によってFRBが大量に国債を買い占めたためです。自社株などで市場に流通する証券が減少している株式市場も同じでしょう。
米国債市場も今は鉄火場と化して、すこしのショックでボラが大きくなっています。
株価が上昇するときより下落するのが早いのと同じで、金利やインフレ率は短期で急上昇します。今の米国債の流動性低下は、金利急騰のリスクがあります。
なお、同じことは日本債にもいえ、より危険だと思います。

債券王ビル・グロースとともに、PIMCOを創設したモハメド・エラリアンは流動性があるとの幻想が最大のリスクと警告しています。
最大のリスク、流動性があるとの幻想━エラリアン氏=CNBC

米国の個人消費や企業業績がこのまま低迷して、中国の貿易黒字額が減れば、米国債の買いも減ります。これも長期的にみれば米国債の利回り上昇のリスクです。

2月3日以降、売りに転じた金は、雇用統計の米国債利回り大幅上昇によって、暴落しました。その後も下げ続けています。
金は短期的には、金利に一番反応します。
米国長期債の利回りが上昇すれば、ドル円が買われ、ダウが買われます。
そうなるとドル建て金は売られます。
金利上昇は短期のスパンでみればドル建て金にとってもっともダメージになります。
もっとも、長期的にみれば違います。
米国債の金利が急騰して、不動産バブルが弾け、社債で自社株買い資金の調達が困難になった株式市場バブルが弾ければ、金はアウトパフォームします。
最近のインタビューで、ノーベル学者ロバート・シラー教授は、債券市場の暴落で、株や不動産市場も崩壊すると警告しています。
また、バフェットも今一番、買いたくないものは米国債30年債だとしています。

このブログでは、米国の長期債利回りが徐々に低下して、それに伴い金も緩やかに上昇していくとうのがメインシナリオですが、米国長期債利回りの急騰によって信用リスクの高まり、それに伴い金の急騰というシナリオになれば、金相場にとってより好ましいと思います。


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[ 2015/02/18 15:14 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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