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第二次世界大戦の高い代償と勝利者


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宇宙船ポチョムキン
ヨーロッパ戦勝記念日である5月8日(ドイツ降伏の日)、ロシアでは、対独戦勝70年式典がおこなわれました。今年の式典は、東西対立がぶり返して新冷戦時代に突入していることもあり特別な意味がありました。
西側諸国の首相の出席は見送られましたが、中国はVIP待遇で迎えられました。
プーチン大統領は「両国関係の水準の高さと信頼性について特筆せずにはいられない」と述べ、中露関係が過去最高状態であることを表明。第二次大戦に関し「ソ連と中国は最も多くの国民が犠牲となった最大の戦争被害国だ」と強調し、「戦勝国」としての結束を確認しています。
これに対して、習主席は「第二次大戦での戦闘に際し、両国民の間に固い友情が結ばれた」と述べ、プーチンを今年の9月3日(この日はポツダム宣言の降伏文書に調印した翌日)に中国でおこなわれる対日戦勝記念式典に公式招待しました。プーチンは、これを快諾しています。
この両国の蜜月関係のアピールは、最近の日本とアメリカの軍事同盟の強化への牽制の意味があると思います。
軍事パレードでは最新鋭の武器が披露されていますが、注目されるのは、最新鋭のICBMであるRS-2ヤルスでしょう。
ICBMは突入スピードが早く、パトリオットやイージスなどでは、ただでさえ迎撃が困難なものですが、ヤルスは、1基のミサイルに複数の核弾頭を搭載することが可能な、MIRV(複数個別再突入体)であり、野球漫画の分身魔球のように、突入時に弾頭が分かれます。
直球でも打つことが困難なのに魔球まで手にいれられたことになります。
そもそもミサイル防衛は、通常のミサイルでも数にものをいわせた飽和攻撃の一斉射撃には対処できません。
中国は、すでに対艦巡航ミサイルYJ-18の配備を開始しています。これはロシアとインドのブラモスに匹敵する性能で、海面スレスレをとんでくるためにレーダーでの早期発見が難しく、速度も超音速と早いため迎撃が非常に困難です。
ニフカなどが実用化されて早期発見ができたとしても飽和攻撃には対応できないでしょう。
日本は巡航ミサイルを所有せず、アメリカも対艦巡航ミサイルは少量しか保有していません。速度も、亜音速のもので見劣します。
さらに中国は長い射程をもつマッハ10の対艦弾道ミサイルを開発中です。
この開発が成功すれば、迎撃は不可能で、空母のみならず、すべての水上艦艇は無力化します。
飛行機の登場は、ゲームチェンジャーとなり、大艦巨砲主義を終わらせましたが、このミサイルはよりドラスティックで、海軍の終わり(潜水艦や小型艦艇を除く)を意味することになります。
ミサイル防衛は、莫大な費用を投入した(アメリカ国民の税金)イスラエルのアイアンドームようにピンポイントを守る場合であってもパーフェクトではありません。
イスラエルの国土は狭く、その人口のほとんどがテルアビブに集中しています。核や生物化学兵器を搭載した弾頭なら一発でも撃ち漏らすと、国が滅びることになりかねません。
アイアンドームは90%の迎撃率があるともといわれていますが、これを100%に近づけるには、ただでさえ高い費用がさらにうなぎのぼりに上昇することになります。一方、攻撃用のミサイルは安価です。ロケット弾は一発500ドル、アイアンドームは一発4万ドルから10万ドルといわれています。
アメリカはミサイル防衛に限られたリソースを集中させていますが、CPが悪すぎてミサイル防衛構想は非現実的です。
財政難のなか、日本が、アメリカから、隣国のミサイルの脅威を煽られて、それに右翼が過剰反応して、ミサイル防衛兵器を、ぼったくり価格でかわされることは、金の無駄使いということもできるでしょう。ハード面ではなく、ソフト面での隣国との関係改善こそが、真の安全保障につながるといえます。

第二次世界大戦の犠牲者は、軍人(軍属を含む)の戦没者(直接の戦闘による戦死者+戦病死)と民間人の死者にわけることができます。
オフィシャル発表では、どの国も、自国の軍隊が強かったことをアピールするためか、戦没者数は少な目に報告する傾向がある一方、民間の犠牲者数は、被害者であることを強調するために、多めに報告される傾向があるようです。
民間人の犠牲者は、自然死もありますし、弾圧や経済政策の失敗などによる内政の犠牲者もいます。
また、日本、ドイツ、中国、ソ連などでは、この時期、戦争以外にも、泣きっ面に鉢で自然災害や飢饉などの災害も重なりました。複数の要因があるので戦争による直接の犠牲者のカウントは困難です。
そのため、諸説あってばらつきが大きいものの、第二次世界大戦(前哨戦を含む)の民間人の犠牲者は、おおよそ下記のようなものであるとされています。
なお、このような統計による比較は、個々の命を軽視することにつながりかねない問題があることは否めません。しかし、理想は別として現実的に、データ(事実)から見えてくる理解には、アメリカ的価値観では批判されやすいステレオタイプなどと同様に、一定程度の有用性があるのであえて比較します。

ソ連(バルト三国、ポーランドの占領地等を含む)が1300万~1800万、
中国が700万~2000万、
ポーランドが550万~600万、
ドイツ(オーストラリア等を含む)が150万~650万、
日本(満州等を含む)が60万~100万人
(そのうち50万強が、アメリカの無差別空爆による犠牲者、10万人弱が沖縄戦の犠牲、残りがシベリア抑留などの犠牲者です。空爆の犠牲者のうち、半分以上が、東京大空襲と二発の原爆投下のたった3回の攻撃でやられています。)、
フランス25万~35万、
イタリア15万、
英国7万、
米国1700人です。
威嚇目的の潜水艦による艦砲射撃などを除けば、本土(ハワイ、グアム、アーリーシャン諸島、アラスカなどを除く)への攻撃を受けなかった米国は、ほぼクリーンシート状態でした。相対的にみれば他国より圧倒的に少ない民間の犠牲者の大半は、Uボートによる商船船員の犠牲者だと思われます。
なお、日本軍の攻撃によるアメリカの直接の被害者は、真珠湾攻撃で友軍の誤射で民間人68人が犠牲になったほか、日本からアメリカ上空に流れるジェット気流を利用した風船爆弾で6人が犠牲になったとされています。フルボッコ状態で一矢を報いたとみることもできる風前爆弾ですが、日本の国家予算を上回る研究費を投じ、コンピュータで設計された、一発で10万人を殺す核爆弾と、ハリボテの風船に焼夷弾をくくりつけたアナログな風船爆弾では勝負になりません。

このように、WW2では、国土が市街戦など地上戦の戦場になった国の民間人の犠牲者が突出しています。人口比の犠牲者数の割合でも同じような結果になっています。
もし、日本も徹底抗戦派が政治的に勝利して降伏が遅れて本土決戦などしていたら、犠牲者数が桁違いに増加していたでしょう。
上記のように民間の戦争犠牲者数の数には諸説あって大きな開きがあり、その数の正確な特定は困難ですが、交通事故でも、裁判でも、被害者は過剰に被害を主張するものです。これは現実の損害に対する権利意識だけでなく、相手への怒りや制裁といった心理的な影響があるためです。
これにたいして加害者がどこまで責任を負えばいいかは問題ですが、実損への金銭面の補填は別として、その態度は平謝りを続けるしかないでしょう。それが相手の怒りなど心理的な損害を癒やす心理的な倍賞になります。
ドイツはそれを実践しています。ロシアやポーランドなどの犠牲者数は突出して多く、加害者であるドイツは今でもひたすら平謝りを続けています。
今年はウクライナ問題もあって、メルケルは、アメリカに配慮して、対独戦勝70周年記念式典には参加しませんでしたが、翌日の10日には、プーチンとともに「無名戦士の墓」に花を手向け、その後に首脳会談をおこなっています。
一方の、日本ですが、安倍政権は、中国や韓国の国民感情よりも、国内右派の情緒面に配慮して、謝罪は1回したらそれでいいといわんばかりに、平謝りを拒否しています。この態度が、時間とともに少しずつ沈静化しつつあった中国や韓国国民の怒りを再び火をつけているようです。中国の犠牲者数は、諸説ありますが、ロシアの次に多いことに争いがなく、その加害者は日本ですから、中国国民がいまだに根深く反日意識をもっているのは無理もないといえます。
村上春樹は、日本は相手国が納得するまで謝罪するべきと発言して右翼の反感を買いましたが、いっていることはごく当たり前のことです。
政治家が謝るだけならタダですみます。謝罪を拒否するのは、安っぽいプライドの右翼的感情論にすぎません。そのプライドの代償は、経済関係の悪化や安全保障の低下など、高くつきます。アメリカに唆されて、感情論で尖閣を買い取ろうとした石原慎太郎によって失われた日本の国益の損害は何兆円規模になるでしょう。
日本と、中国&韓国の関係がこじれれば、中国共産党や韓国政府は、不安定な国内世論をまとめることができるから得をするという見方もできますが、国内の民族意識の異常な高まりは、いつ現政権にその怒りが向かうかわからず、どの政府にとってやっかいでもあり一概にそうとはいえません。実際、戦前(厳密にいえば、明治維新以後)、日本は民族意識の強い右翼の台頭により、統治機能(シビリアンコントロール)が弱体化して、焼け野原への道を歩むことになってしまいました。
日本と中国韓国が対立して、純粋に得をするのはアメリカ(もっと厳密にいえばアメリカの資本家など一部の支配者階級)だけです。
ユダヤ人の犠牲者は、過大に見積もられる傾向がありますが、その多くがガス殺ではなく、捕虜収容所で流行したチフスが原因だという指摘もあります。ガス焼却所は、その除菌のためともいわれていますが、これはドイツではタブーとされています。実際、衛生的に問題がある狭い捕虜収容所に連行したのはドイツですから、その責任はドイツにあって、相手が主張する加害手段の内容や損害の大きさについては一切反論しようとしないスタンスです。
これに対して、日本の右翼は、慰安婦の強制連行があったかいなかの点にあくまでこだわっています。
軍隊などの日本の国家権力の直接の暴力による強制連行が繰り返しがおこなわれていたかいなかは、どちらの立場からもはっきりと立証されていないようですが、日本軍が組織的に大規模な朝鮮人慰安婦を使った慰安施設を開設していたことは事実として証明されていますから(中曽根がその帳簿の仕事をしていたのは有名)、この点の責任は否定できません。売春や麻薬は売るほうがもっぱら悪いのであって買う側に責任がないとはいえません。利用者がいるから売り手がでてくるのです。ここに悲劇があります。強制連行の有無といった瑣末な点にこだわっていると、慰安婦問題に関して、全体として反省していないとの印象を与えるだけです。これは対韓国だけでなく、世界中で日本のイメージを悪くして、国益を損ねます。
南京虐殺に関しても、中国が被害者数を、実際の被害者よりも多く主張してくるのは、被害者感情からして当然であり、これに対して右翼が南京虐殺はなかったという全か無といったリアクションをすれば、ますます、相手の主張する被害者数の数が増えていくだけです。その怒りが続くことは、巨大な中国消費者市場での日本企業のシェア拡大にとって障害になります。

以上のように特定が困難な民間人の犠牲者数に対して、軍人の犠牲者(植民地軍を含む)のほうは、民間人の犠牲者と異なり、死因が特定されているため、カウントが比較的容易です。
こちらもソ連の戦没者が、900万~1400万人で突出しています。
ドイツが430万人~690万人、
中国が300万~400万、
日本が210万~310万、
米国が29万~41万、
イギリスが27万~38万、
イタリアが30万、
フランスが20万です。

太平洋総戦争の戦場といえば、激戦地として有名なカダルカナル、硫黄島、サイパン、天皇が訪問したことで注目を集めたパラオなど南洋の小さい島のイメージが強いですが、実際、日本軍でより多くの死者がでているのは、フィリピンや中国方面です。次がニューギニアやビルマでした。
また、生還の可能性が理論的にはゼロという「確実性や可能性の効果」から、情緒的インパクトが強い航空特攻による戦死者ですが、約4000人と全体からみると微々たる割合です。ちなみに、大和の水上特攻1回で約3000人が戦死しています。
日本の戦没者は230万人程度といわれていますが、戦病死が多いのが特徴です(*6割~7割が戦病死、残りが直接の戦闘による戦死者)。
日本軍の、直接の戦闘による戦死者数の相対的な少なさからみても、欧州戦線の戦闘が、太平洋戦線よりも激しかったことがわかります。
ちなみに、日本の戦病者が多いのは、攻撃は最大の防御という精神論のもと、兵站を軽視したことが大きかったといわれています。平和ボケした今の安倍政権の発想は戦前と似たところがあります。
つい先程も、官房長官がオスプレイは、離島防衛に有用と語っていましたが、制空権のないなかで、鈍足で着陸時間のかかるオスプレイが尖閣に強襲をしかけても、敵戦闘機や対空ミサイルにカトンボのように撃ち落とされるだけです。仮に陸戦隊の輸送に成功したとしても、オスプレイで運べる程度の人数でを死守せよと命令するのは無謀です。戦前の旧日本軍以下の人命軽視といえるでしょう。ただの無人島に、日本にとって多大な犠牲を払ってまで守るだけの価値はありません。
離島防衛に最適という名目で、日本は、アメリカから、失敗作オスプレイを、欠陥を補うため高騰した開発費の回収のために、戦闘機なみのボッタクリ価格で買わされましたが、そんな金があればまず戦闘機につかうべきだったといえるでしょう。
中国空軍は量と質の両面ですでに航空自衛隊(+在日米軍)を凌駕しており、現時点で日本は尖閣上空での制空権を失いつつあります。

アメリカ軍の被害29万のうち、大西洋戦線での被害が18万強、太平洋戦線が11万弱です。
これも欧州での戦いのほうが激しかったこと示唆していますが、それでも、米軍の被害は、ソ連の何十分の1程度です。
対ドイツ、対ナチス、対ファシズム戦で勝利したのは、アメリカではなくソ連だとロシアがいまでも強調するのはこのためです。多大な犠牲を払った上での勝利ですから気持ちはわかります。
よく日本の右翼は、日本が負けたのは、国民党(国民革命軍)であって、共産党(人民解放軍)ではないといっているのも同じような論理でしょう。*国民革命軍の被害は人民革命軍の5倍程度とされています。
実際、東部戦線でのロシアの攻勢がなければ、ノルマンディー作戦後の西部戦線での米英軍の進軍はそれほど簡単ではなかったはずです。挟撃を可能にしたのは焦土作戦をとった赤軍の粘りです。ベルリンに先に突入したのもロシア軍でした。
日本では、ソ連が、アメリカの勝利の分け前をもらおうと最後の最後に勝ち馬にのって参戦してきたイメージがありますが、欧州方面では逆といえます。
第二次世界大戦は、その名前のとおり世界全体を巻き込んだ戦争でしたが、その犠牲者数からみて、事実上、ドイツとソ連の戦いだったとみることもできます。
犠牲者数だけでなく、工業力の面からみても、両国の戦いでした。
GDP=工業力とは一概にいえないものの、世界恐々以降、開戦までの10年(1929年~1939年)のGDP成長率は、国家社会主義による計画経済により工業力を急速に拡大していていたソ連とドイツはそれぞれ6.1%と3.2%と勢いがありました。
これに対して覇権を失ったイギリスは1.8%、経済政策に失敗して勢いを失ったアメリカは0.2%でした。
今現在も、ここ10年の平均成長率で、アメリカは中国やロシアよりも勢いがありません。
これは軍事面でも今後影響が大きくなってきそうです。


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[ 2015/05/11 05:23 ] おすすめ | TB(0) | CM(0)
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